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2021年12月31日 (金)

ゴジラ60周年ロケ地巡り~『ゴジラvsデストロイア』①(東京/銀座・永田町・浜松町・晴海・有明編)

皆様、いかがお過ごしでしょうか。コロナ禍で生活様式がすっかり変わってしまい、慌ただしい日々を過ごすなか、前回の更新からあっという間に2年が経とうとしています。私自身はその間も、オンライン開催となった「ゴジラフェス」を視聴したり、『ゴジラvsコング』を鑑賞したり、またつい先日も「平成ガメラ降臨祭 京都」への参加や『モスラ 4Kデジタルリマスター版』の鑑賞など、特撮道は衰え知らずだったのでありますが、どうにも筆が進まず、現在に至ってしまいました。まあ、そんな個人的な話はどうでもいいわけですが、2021年の暮れは何とか時間が作れそうな気がして、久々に筆をとった次第です。まずは平成ゴジラシリーズのロケ地巡りを完結せねば!


というわけで、今回ご紹介するのは1995年12月9日に公開されたシリーズ第22作『ゴジラvsデストロイア』です。この作品の情報を初めて知ったのは、もちろん前作『ゴジラvsスペースゴジラ』の上映後に公開された後づけ特報です。2020年11月8日の「ゴジラフェス」で話題になった「初代ゴジラカラー化映像」に先駆けること5年前、着色された第1作『ゴジラ』の映像がスクリーンに流れ、カラーになった山根博士が衝撃的でした。このときのタイトルはまだ『ゴジラ7』。敵怪獣の名前は伏せられており(というか、この時点ではまだ決まっていなかった)、いやが上にも期待感を煽る内容でした。本映像は『ゴジラvsスペースゴジラ』 のBlu-ray/DVDに映像特典として納められていますので、未見の方はぜひ!

その後、『ゴジラvsデストロイア』 というタイトルを始めて見たのは立ち読みした『B-CLUB』だったか『宇宙船』の小さな記事だったように思います。大森一樹さんが脚本を担当されると知って小躍りしたのを覚えています。ただ、「デストロイア」という名前を見たときは、「オキシジェン・デストロイア」からとっているということよりも先に、プロレスラーのザ・デストロイヤーの顔が頭に浮かんでしまいました(笑)。

 

◆銀座和光
『ゴジラvsデストロイア』(1995)より
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本作のプロデューサーである富山省吾氏は、著書『ゴジラのマネジメント』の中で「1作目のゴジラがシリーズの表紙だとしたら、その合わせ扉として裏表紙を作る」ことを目指したと記しています。その方向性が示す通り、『ゴジラvsデストロイア』は第1作『ゴジラ』とリンクする設定が随所に散りばめられており、オマージュ的な演出も多いです。核爆発寸前のゴジラが東京の街を蹂躙するこのイメージシーンもその一つ。当ブログでも何度も紹介していますが、過去記事と見比べていただくとここ数年の和光周辺の変遷の様子がうかがえます。【①】

特撮ロケ地巡り~東京・銀座編①(松坂屋・銀座和光)
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2013/07/post-d179.html

ゴジラ60周年ロケ地巡り~『ゴジラ』①(品川・銀座)
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2014/07/60-4fa7.html

(2020年10月31日撮影)


◆銀座四丁目交差点
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こちらは、臨海副都心に謎の生物が出現したことを知らせる電光掲示板。現在は看板になっています。

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銀座三越前からのアングルで、右手に和光ビルが見えます。

(2015年1月31日撮影)

◆銀座五丁目付近
『ゴジラ』(1954)より
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そのまま銀座五丁目交差点付近へとやってきました。初代ゴジラの放射熱線で焼かれた松坂屋の跡地は現在、複合商業施設の「GINZA SIX」に生まれ変わっています。【②】

『怪獣プラネット ゴジラ』(1994~1998)より
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サンリオピューロランドのアトラクション用3D映像『怪獣プラネット ゴジラ』では、銀座周辺のミニチュアセットが組まれました。

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制作されたのは『ゴジラvsメカゴジラ』(1993)の直後ということで、『ゴジラvsデストロイア』に先駆けて、ゴジラはミニチュアで制作された和光ビルに迫っています。中央通りはかなり広く作られていますね。

(2018年10月3日撮影)

◆国会議事堂
『ゴジラvsデストロイア』(1995)より
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こちらもゴジラ核爆発のイメージシーン。銀座和光同様、第1作のオマージュと思われますが、実景で同アングルの撮影が難しかったのか、参議院側の北門前からのアングルとなっています。現在は、木々の成長がすごいですね。【③】

(2014年6月25日撮影)

◆世界貿易センタービル
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核爆発の閃光が走るイメージシーンは、世界貿易センタービルから東京タワー方面を望んだもの。

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世界貿易センタービルは、『メカゴジラの逆襲』(1975)や『ゴジラvsモスラ』(1992)など、ゴジラシリーズにゆかりのあるビルです。当ブログでも何度か紹介してきましたが、建て替えのため今年2021年6月30日に閉館しました。【④】

特撮ロケ地巡り~東京・港区編②(世界貿易センタービル)
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2014/02/post-da66.html

ゴジラ60周年ロケ地巡り~『ゴジラvsモスラ』②・『メカゴジラの逆襲』①(東京・千葉)
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2016/08/60vs-b639.html

(2018年5月15日撮影)

◆晴海客船ターミナル
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謎の生物に対する臨時司令部が設置されたのは「晴海客船ターミナル」です。東京港開港50周年を記念し、 国内外の豪華客船が接岸する東京の海の玄関として1991年に開業しています。 このカットは、公開当時はまだ日本では珍しかったデジタル合成によって作られていますが、3DCGで飛ぶ戦闘ヘリが印象的でした。【⑤】

『ウルトラマンオーブ』第25話「さすらいの太陽」(2016)より
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ちなみに、ターミナルへ続く道路は、『ウルトラマンオーブ』最終回の変身シーンが撮影された場所でもあります。さらに、この道の奥に見える倉庫街は、かつて初代ウルトラマンがケロニアと戦った晴海の倉庫街です。

(2015年6月25日撮影)

『ウルトラマン』第31話「来たのは誰だ」(1967)より
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ということで、ハヤタが変身するために走って行った倉庫を探してみたのですが、残念ながら時すでに遅しでした。ウルトラマンシリーズのロケ地サイト「光跡」さんによると、2012~2013年に解体されてしまったとのことです。

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「晴海客船ターミナル」周辺は、2020年東京オリンピック・パラリンピックの選手村になりました。選手村の建設に伴い、先の『ウルトラマンオーブ』最終回の変身シーンが撮影された道路はすでになくなっています。そして先日12月27日には、「晴海客船ターミナル」も2022年2月20日に閉館すると東京都港湾局が発表しました。

「晴海客船ターミナルが閉館、解体へ 撮影スポットとして人気も...30年の歴史に幕」(Yahoo!ニュース)https://news.yahoo.co.jp/articles/cf390d8dfcbff46a1a4e7c25dbaa0a21dfc09223

「『晴海客船ターミナル』なぜ閉鎖? 30年の歴史に幕 “東京の海の玄関口”のはずが」(乗りものニュース)
https://trafficnews.jp/post/114090

『ゴジラvsデストロイア』(1995)より
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「晴海客船ターミナル」では、ほかにも様々なシーンが撮影されています。東京の街が大炎上するイメージシーンの下画は、3階の送迎デッキから竹芝・日の出埠頭方面を眺めたものです。

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また、ゆかり(演:石野陽子)が伊集院(演:辰巳琢郎)に海底トンネルの土を持ち帰った真意を尋ねるシーンは、1階の臨港広場にて撮影されています。

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この臨港広場は、東映のスーパー戦隊シリーズなど、数々の特撮作品のロケ地としても有名です。ここで恒例ですが、少し脱線して…

『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』(2012)より
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こちらの作品のラストシーンは、先の『vsデストロイア』 の1シーンとほぼ同じアングルです。

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こちらはゴーカイレッド(演:小澤亮太)とギャバン(演:大葉健二)の再会シーン。現在、池は手入れされていないようで、結構汚れていました。

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左からバトルケニアこと曙四郎と、ギャバンこと一条寺烈、そしてデンジブルーこと青梅大五郎の奇跡の3ショット。これも臨港広場です。衣装チェンジが大変だったでしょうね。

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こちらは、前面広場。『特捜エクシードラフト』(1992~1993)では本部の外観として使われたり、ヒーローの名乗りのシーンといえばここ、というほど定番のスポットです。

『ゴジラvsデストロイア』(1995)より
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閑話休題。展望台へとやってきました。

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臨時司令部へと向かう自衛隊員。床面が再塗装されていたり、ところどころ耐震補強はされてはいますが、基本的には公開当時のままです。

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この上に司令部があります。右下の「N」という方向板にご注目。

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司令官(演:神山繁)と伊集院が眺める方角は北側なのですが…

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デストロイアが出現した有明地区は、実際にはその真後ろになります。

(2020年10月31日撮影)

◆有明二丁目交差点付近
『ゴジラvsデストロイア』(1995)より
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デストロイア幼体が高架下をうごめくシーンは、有明JCTを有明二丁目交差点付近から撮影したものです。首都高速台場線の照明灯の位置が本編と微妙に異なります。【⑥】

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有明清掃工場の煙突と、その左にある道路標識(右方向屈曲あり)の付いた台場線照明灯との位置関係を本編に合わそうとするとこんな感じです。これだとかなり近づき過ぎです。実際の撮影ポイントは、現在武蔵野大学有明キャンパスの敷地になっているところから撮影されていたのではないかと推測します。

(2020年10月31日撮影)

◆東京ベイコート倶楽部前
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メーサー車がデストロイア幼体に超低温レーザーを照射した場所は、現在の「東京ベイコートクラブ」前辺りと思われます。本編の有明清掃工場の煙突の向きは左右逆になっています。⑦】

(2013年7月17日撮影)

◆夢の大橋
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デストロイア集合体が出現するシーンは、「夢の大橋」から有明清掃工場を望むアングルが本編と符合します。工場の煙突は、本物と同じ向きに修正されています。【⑧】

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首都高を跨いで前進するデストロイア。本編でビルが建設中だったところは、現在「東京都水の科学館」と「武蔵野大学有明キャンパス」になっています。煙突の向きがまた逆になってる…

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「夢の大橋」は、パレットタウンのある青海と東京ビッグサイトのある有明を結ぶ全長360m、最大幅60mの日本一幅広い歩道橋で、1990年に竣工。2020年東京オリンピック・パラリンピック期間中には聖火台が設置されていたことでも有名です。また、特撮作品をはじめ、多くの映画やドラマのロケに使用されています。例えば……

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2019年10月27日 (日)

ゴジラ60周年ロケ地巡り~『ゴジラvsスペースゴジラ』②(神戸)

久しぶりの投稿です。毎度同じような書き出しで恐縮ですが、 気がつけば前回の投稿から1年以上経ってしまいました。この1年の間、 ゴジラ史的には『GODZILLA 星を喰う者』が2018年11月9日に公開され、アニメシリーズが完結。

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そして、2019年3月10日には「第1回 ゴジラ検定」が開催されました(おかげさまで初級・中級とも無事合格いたしました)

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さらに、令和を迎え、5月31日に 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』が日米同時公開。キングギドラとモスラ、ラドンも復活し、ゴジラ誕生65周年にふさわしい豪華な内容でした。

当ブログでは未だに「ゴジラ60周年ロケ地巡り」が完結していませんが、どうか『西遊記』PART1(もちろん円谷プロが特撮を担当した堺正章版ね)の最終回で、高峰三枝子演ずる釈迦如来が、天竺へ向かう三蔵法師一行に対して「何年かかっても良い」と諭したように、気長にお付き合いくださいませ。

さて、前回は兵庫県明石市で開催されていた「特撮のDNA展」の話題で締めくくりましたが、今回はお隣りの神戸市で『ゴジラvsスペースゴジラ』のロケ地を巡ります。とはいえ、本編ではわずか10秒足らずのシーンですので、例によって脱線しまくりの内容となりますことをあらかじめお断りしておきます(そういうことやってるから前に進まないんだろうというツッコミもなしで)


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『ゴジラvsスペースゴジラ』(1994)より
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神戸上空に飛来するスペースゴジラ。神戸ハーバーランドにある複合商業施設「umie MOZAIC」2Fのウッドデッキ「海の広場」から神戸ポートタワーのあるメリケンパーク方面を眺めたアングルです。25年のうちに高層建築物が増えています。左奥に見える六甲山は合成で消されているようです。【①】

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「umie MOZAIC」は、「神戸モザイク」という名称で1992年にオープン。いわゆる神戸らしい立地もさることながら、2012年までは阪急・東宝系列の施設でしたので、ロケもしやすかったのではないかと思われます(現在はイオンモールが管理)。

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本編とは順序が前後しますが、スペースゴジラを指差す人々のカットです。
おや?なんか違う…??

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「海の広場」から3Fを見上げていたのですが、公開から25年も経っているのでリニューアルされていたとしてもおかしくないとは思いつつ、どこか違和感を覚えます。そう思いながら辺りを見回していると、2Fの手すりの下部(写真右)が本編と同じ金網状になっているのを発見。もしやと思い、1Fへ降りて見上げてみると…

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見事に一致しました。わざわざカメラを移動させて撮影していたんですね。

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ちなみに「海の広場」の下は、神戸港から明石海峡大橋付近までを周遊するレストラン船「コンチェルト」の待合室となっています。

『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』(2006)より
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「コンチェルト」は、ウルトラマンシリーズ誕生40周年記念映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』の舞台となった船です。 

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船上では、ウルトラマンメビウスことヒビノミライ(演:五十嵐隼士)が、先輩のウルトラ兄弟と語り合う重要な場面が撮影されています。

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「海の広場」から接岸中の「コンチェルト」のデッキに注目。

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撮影ポイントを望遠で狙ってみました。機会があれば乗船して、きちんと検証したいところです。レストラン船なので、料理を楽しみながらロケ地巡りをするというのも乙なものかもしれません。

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さて、再び「MOZAIC」に戻ります。これもメビウス劇場版から。撮影場所は2F海沿いのデッキです。本編右端には小中和哉監督がカメオ出演されています。その奥には現在、結婚式場やホテルが建ち並び、随分様変わりしました。最近の作品だと思っていましたが、もう公開13年になるんですね。【②】

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こちらは『ゴジラvsスペースゴジラ』と同じ2F「海の広場」で撮影。氷川きよしさんは合成?
この1カットのためだけにわざわざ神戸まで来られたのでしょうか?

『ウルトラマンダイナ』第36話「滅びの微笑(後編)」(1998)より
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ウルトラつながりで、こちらは関西ロケが行われた『ウルトラマンダイナ』第36話のエンディングより。右の現地写真は2014年に撮影したものですが、店舗は入れ替わっているものの、雰囲気は当時とそれほど変わっていません。

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ハーバーロード沿いの階段から1F「希望の広場」を望むアングルなのですが…

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現在はリニューアルされており、よりオシャレな景観に生まれ変わっています。【③】

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ウルトラマンと何かと縁が深い「MOZAIC」ですが、2013年3月には「ウルトラマンワールドM78 神戸店」がオープンしています。当初は2014年1月までの期間限定店でしたが、その後継続営業が決定。現在に至ります。ショーウィンドウに鎮座する1/6の初代ウルトラマンがインパクト大です。

<円谷ステーション ニュースより>
「オフィシャルショップ『ウルトラマンワールドM78』が2013年3月15日(金) 神戸ハーバーランド モザイクにオープン!名誉店長はウルトラマンティガ!」(2013年3月14日)
https://m-78.jp/news/n-1741/

「ウルトラマンワールドM78 神戸店 継続営業決定!」(2013年12月7日)
https://m-78.jp/news/n-2268/

メリケンパーク
『ゴジラvsスペースゴジラ』(1994)より
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閑話休題。メリケンパークへとやって参りました。【④】
『東宝SF特撮映画シリーズ VOL.9 ゴジラvsスペースゴジラ』(東宝 出版・商品事業室発行) の鈴木健二・中野陽介特撮助監督による「特撮激闘撮影日誌」によると、福岡の天神周辺でのロケを終えた特撮班が1994年6月13日に神戸へ立ち寄り、ロケハン。翌14日に100名近くのエキストラを動員して撮影したとあります。なかには前年の『ゴジラvsメカゴジラ』のロケに参加した人もいたとか。同じ関西人として羨ましい限りです。特撮班は2日後には山形ロケを敢行。まさに激闘の日々ですね(*^^*)

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本編左端に見える石碑は、彫刻家・流政之氏によって1991年に製作された「神戸海援隊の碑」です。この辺りにはかつて勝海舟、坂本竜馬らによってつくられた海軍操練所が存在しました。石碑には「武士、町民、農民を問わず若者たちが大洋に夢をはせ経済、科学など多くのことを学んだ。夢を果たせず志なかばに倒れていった若者たちを『神戸海援隊』と名付け、その短い青春の夢をここに刻む」とあります。


勝海舟といえば、当ブログで以前にも取り上げたことがありますが、1990年の日本テレビ年末時代劇スペシャル『勝海舟』の特撮を、川北紘一特技監督率いる平成ゴジラシリーズのスタッフが担当しています。

『勝海舟』(1990)より
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そして、その10年前。川北監督は1980年に『ウルトラマン80』の特撮を手掛けていますが、担当した4本(9、10、13、14話) で組んだ本編監督は元大映の湯浅憲明監督でした。湯浅監督が大映時代に特撮を担当したのが……

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2017年8月 6日 (日)

ゴジラ60周年ロケ地巡り~『ゴジラvsメカゴジラ』②(大阪)

約5か月ぶりの更新となってしまいましたが…前回の続きです。
そういえば、まもなく発売される『ゴジラ全映画DVDコレクターズBOX VOL.29』は『ゴジラvsメカゴジラ』ですね。

◆茶屋町
『ゴジラvsメカゴジラ』(1993)より
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京都でべビーゴジラに会うのを諦めたゴジラは京都から南へ下り、一路大阪湾へ。その途上、大阪の梅田・茶屋町付近を通過します。茶屋町は現在、再開発が急速に進んでおり、公開当時と同じように「ホテル阪急インターナショナル」(中央)やMBS本社(右)を見渡せなくなってしまいました。

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なお、今回の比較写真は「HEP FIVE」の観覧車から撮影しました。高さが変わっていくので、本編と比較しながら一番近いアングルを探っていきました。
カップルが多い中、一人で乗るにはかなり勇気が必要でしたが…(^_^;)

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結果、観覧車が一周して降車する直前のアングルが本編に近いことが判明しました。とはいえ、「HEP FIVE」の開業は1998年。観覧車も含めて映画公開当時は存在しません。その時代には「阪急ファイブ」という前身の商業施設がありました。往時の「阪急ファイブ」は、下記ブログにて紹介されています。

大阪市の北区をグルグル巡るブログより「阪急村の歴史」
http://kita-ku.jugem.jp/?eid=375

阪急東宝グループ(当時)で撮影交渉もやりやすかったでしょうし、周辺で同じように見渡せるビルはほかに見当たらないので、「阪急ファイブ」の屋上等から撮影された可能性が高いと考えられます。

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ちなみに取材したのは2014年8月。目の前では大阪工業大学梅田キャンパスの建設が進んでいました。

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そして2017年4月、梅田キャンパス「OIT梅田タワー」が完成。もはや観覧車から本編と似たアングルを望むことすらできなくなってしまいました…。

◆MBS本社
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本作とMBS(毎日放送)のつながりは前回ご紹介しましたが、エンドロールにMBSは表記されていません。その代わりに挿入されたのがこのタイアップカットなのかもしれません。MBSのロゴは2011年9月のCI刷新に伴い変更されており、本社(M館と言うそうです)壁面の旧ロゴは現在取り外されています。

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ゴジラが立っていたと思われる本社の北側には、2013年に新館(B館)が竣工しています。

◆ホテル阪急インターナショナル
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こちらは未使用カットから。ゴジラが「ホテル阪急インターナショナル」の後方を通過する合成カットも用意されていました。同ホテルもエンドロールに表記はなく、タイアップ色が濃そうなカットです。阪急グループへの配慮か、もしくはスタッフの宿泊先だったのでしょうか。

(2014年8月5日/2016年11月6日/2017年7月30日撮影)

◆阪急うめだ本店/HEP NAVIO
『ウルトラマンダイナ』第35話「滅びの微笑(前編)」(1998)より
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さて、ここからはいつものように脱線していきます。まずは梅田・MBSつながりで、誕生20周年を迎えた『ウルトラマンダイナ』から。第34・35話の「滅びの微笑」前後編は、制作局のMBSの本拠地である大阪でロケが行われました。このカットは、曽根崎警察前の歩道から「阪急うめだ本店」(左)と「HEP NAVIO」(右)を捉えたものですが、歩道からではなかなかアングルが一致しませんでした。


青いカメラマークが今回の撮影ポイントですが、実際には交差点の真ん中にある三角地内の赤いカメラマークを打った辺りで撮影されているのではないかと思われます。

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改めて本編をよく見ると画面の左上(「京都・宝塚…」と書かれた看板のすぐ上)に信号機が映っています。現地で角度的に一致しそうなのは矢印で示した信号機だけです。

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残念ながら三角地に入れる通路や横断歩道はなく、一般人が立ち入ることはできないので検証は困難ですが、確度は高いのではないかと思います。

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ところで、三角地にそびえるこのモニュメントのような5本の銀の塔ですが、梅田地下街の吸気用として1963年につくられた換気塔なのだそうです。設計者は村野藤吾さん。『ゴジラの逆襲』(1955)のスチール写真に映る「旧そごう大阪店」や、『ゴジラ』(1984)に出てくる「読売会館」を手掛けた人です。

【参考】
Нет 大阪建築 http://www.hetgallery.com/umeda-kankitou.html
NIKKEI STYLE https://style.nikkei.com/article/DGXNAS26ABJ01_S3A121C1AA1P00

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宇宙合成獣・ジオモスの大阪襲撃を伝える「HEP NAVIO」壁面の大型ビジョン。先のカットでは合成されていなかったのですが…(^_^;)

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撮影ポイントは「阪急東通商店街」の入口付近です。

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ゴジラシリーズを上映する「TOHOシネマズ梅田」と「阪急メンズ大阪」が入る「HEP NAVIO」は、放映当時は「ナビオ阪急」という名称でした。この第35話が放映された約5か月後に改称されています。ちなみに、劇場名も当時は「北野劇場」「梅田劇場」「梅田スカラ座」と分かれており、ゴジラシリーズは邦画系の「梅田劇場」で上映されていました。

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大型ビジョンを見つめる大阪府民。先のカットと同様に、「阪急東通商店街」の入口付近で撮影されています。右手の「阪急うめだ本店」は、2005年から建て替え工事が行われ、2012年に「梅田阪急ビル オフィスタワー」としてグランドオープンしました(南側低層部の百貨店棟は2009年に先行開業)。

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余談ですが、TBSドラマ『半沢直樹』(2013年)では「東京中央銀行大阪西支店」の外観として使用されていました。

(2014年8月5日/2015年10月5日/2017年7月30日・8月11日撮影)

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2017年2月19日 (日)

ゴジラ60周年ロケ地巡り~『ゴジラvsメカゴジラ』①(京都)

ご無沙汰しております。約半年ぶりの更新、今年初の投稿です。
昨年公開の『シン・ゴジラ』は、興行収入82億円を突破する大ヒットを記録(2017年1月報道時点)し、年末の『NHK紅白歌合戦』でも話題になるなど、社会現象級の快進撃が続いています。当ブログは、相変わらず「ゴジラ60周年ロケ地巡り」シリーズが進展しない状況ではありますが、3月には『シン・ゴジラ』のBlu-ray&DVDが発売され、アニメ版『GODZILLA』も公開されるようですので、引き続きコツコツと更新を続けながらゴジラを応援していきたいと思います。遅ればせながら、本年もよろしくお願いいたします。


さて、今回ご紹介するのは、『シン・ゴジラ』のエンドロールでテーマ曲が流れた、シリーズ第20作『ゴジラvsメカゴジラ』です。公開は1993年12月11日。「この戦いで、すべてが終わる。」というキャッチコピーが示すように、シリーズ20作目とゴジラ誕生40周年の節目として、平成ゴジラシリーズは本作で一旦終了する予定だったというのはファンにとっては有名な話です(実際はアメリカ版『GODZILLA』の公開延期により、シリーズは続行)。そのため、メカゴジラに加えてラドンの復活や、次世代につなぐベビーゴジラの登場など内容も豪華でした。

さらに本作では、日本映画として初めてドルビーデジタル5.1chサラウンドが試験的に導入されました。私は大阪の梅田東宝で鑑賞することができましたが、当時は東京・有楽町の日劇東宝との2館だけの上映だったとのこと。貴重な体験でした。東宝マークの前の、CGの機関車とともに映し出されるドルビーのロゴムービーが格好良く、高級感に華を添えていたように思います。DVDに収録されていないのが残念です。

◆東寺
『ゴジラvsメカゴジラ』(1993)より
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ウンチクはさておき、本題のロケ巡りとまいりましょう。まずは鈴鹿から京都へ入ったゴジラを東寺越しに捉えたこのカットから。

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撮影場所は、東寺の向かいにあるマンションの屋上です。

『CINEMAチップス』(1993)より
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『ゴジラvsメカゴジラ』公開当時に大阪のMBS(毎日放送)が放送していた『CINEMAチップス』という番組で、ロケ現場の様子がリポートされていました。

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現場で指示を出す川北紘一特技監督。

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リポートしていたタレントの岡崎みゆきさんは、川北監督の機転でそのまま本編にも出演となったようです。

『ゴジラvsメカゴジラ』(1993)より
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続いて順番が前後しますが、プテラノドンの卵が国立生命科学研究所にあると知った青木一馬(演:高嶋政宏)が、車で京都へとやってきたシーン。筑波から高速道路をとばし、名神の京都南ICで下りて国道1号線を北上すると、東寺のはす向かいにあるこの京阪国道口交差点に辿り着きます。

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こちらのカットは、先のマンションの向かいにある病院(右の写真中央の建物)からの撮影だと思われます。

『モスラ3 キングギドラ来襲』(1998)より
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東寺といえば、平成モスラ3部作の最終作『モスラ3』で、キングギドラとそれを追うモルとロラが上空を通過しています。現地の写真は九条大宮交差点で撮影。右側の「京都銀行九条支店」が本編でも右下に確認できます。余談ですが、すぐ近くには「ゴジラ誕生祭」をはじめ特撮映画のイベント上映がよく行われている「京都みなみ会館」があります(私はまだ行ったことないのですが…)

『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』(1999)より
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『ガメラ3』でイリスが降臨したのも東寺付近でした。ただ、アングル的に一致しないというか何か違う気が…。

(2014年11月1日撮影)

そう思っていろいろ調べていると、こちらのブログですでに謎が解明されていました。

まんりき王朝さん:『ガメラ3-邪神覚醒-』京都ロケ地探訪
http://www3.famille.ne.jp/~manriki/manriki.html

Gamera1999
まんりき王朝さんによると、映画公開当時に発売されていたメイキングビデオ『GAMERA1999』に解決の手がかりが隠されていたようです。このビデオは、『シン・ゴジラ』の庵野秀明さんが総監督を務めた139分の大作で、単なるメイキングではなく、撮影現場の際どい問題にもスポットを当てたいわく付きのドキュメンタリー作品。そのためか、先日発売された『平成ガメラ4Kデジタル復元版Bru-ray BOX』にも収録されていませんでした。

◆東本願寺
『GAMERA1999』(1999)より
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これが手がかりとなったロケ現場のシーンです。画面後方に「ほんの一瞬京都タワーらしき白い光が写っている」のを確かに発見。

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そこから撮影場所が東本願寺であることを突き止められたようです。

『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』(1999)より
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再び本編と比べてみると、確かに一致します。塀よりも高い松の木は、まんりき王朝さんも指摘されていますが、デジタル処理が施されているように見えます。

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公式サイトの案内図を参照いただくとわかりますが、東本願寺の前を南北に走る烏丸通は、撮影場所となった御影堂門付近では東側に迂回しており、門周辺は車寄せのようになっています。本シーンはエキストラを大量に動員する必要があったため、国道に面した東寺よりも撮影に好都合だったのかもしれません。

(2016年11月3日撮影)

◆ムラテック八条口ビル
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東寺つながりで、脱線ついでに『ガメラ3』に関する細かすぎるネタをもう1つ。綾奈が「京都駅ビル」から東寺付近に降臨したイリスを見つめるシーンです。五重塔が合成で付け足されたものであることは当ブログで以前にご紹介していますが、今回注目したいのは、その右隣の青い看板です。

特撮ロケ地巡り~京都編③(京都駅~その2)
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2012/11/1-fa79.html

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新幹線からも見えるこの青い看板は「ムラテック八条口ビル」のものだったのですが、近年それがなくなっていることが判明しました(だから何やねんとは言わないで…)

(左:2012年11月13日撮影/右:2014年11月1日撮影)

◆京都タワー
『ゴジラvsメカゴジラ』(1993)より
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さて、京都駅へとやってきたところで、ゴジラの話題に戻ります。烏丸中央口前にそびえ立つ「京都タワー」を破壊するゴジラ。こちらも以前に紹介済みですので、今回はフィギュアの合成写真にて。

特撮ロケ地巡り~京都編①(京都タワー)
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2012/11/post-cf58.html

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ここから新ネタです。せっかくなので上ってみることにしました。

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『モスラ対ゴジラ』と『三大怪獣地球最大の決戦』が公開された1964年に竣工した京都タワーは、高さ131m。鉄骨を一切使わず、筒状の塔体で力を受けとめ全体をささえる「モノコック構造」が世界に先駆けて採用されたそうです。何だか難しいですが、要は飛行機や船、動物ではカニ、エビ等と同じ仕組みとのこと。

『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(1966)より
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実は『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』の冒頭では、京都タワーから撮影された先の東本願寺が映ります。

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カメラはそのままティルトアップして京都市内全景へ。こうして見ると、京都の街も変わりましたね。京都が舞台になっているのは、アメリカとの合作故のことでしょうか。

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カットが変わり、続いて知恩院が映ります。本堂の御影堂は、2012年1月から大修理が行われており、現在は素屋根で覆われています。この知恩院についてはまた後ほど。

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カメラは知恩院から祇園方面へパンします。

(2016年1月19日撮影)

◆京都祇園・弥栄会館
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パンした先にあったのは「弥栄会館」。京都の舞妓の舞を始め、7つの伝統芸能を約1時間で鑑賞できる施設です。この付近にスチュワート博士の研究室があるという設定になっています。実際は京都大学あたりをイメージしていたのかもしれませんが、弥栄会館が選ばれたのは映像的なわかりやすさからでしょう。

(2015年11月7日撮影)

◆知恩院
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先ほどの知恩院へとやってきました。浄土宗の総本山で、大修理が行われている御影堂は1639年(寛永16年)に徳川家光によって再建されたものです。2002年には国宝に指定されています。

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こちらは御影堂とともに国宝に指定された三門。1621年(元和7年)の建立です。

『ラストサムライ』(2003年)より
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三門から御影堂へと続く階段は、アメリカ映画『ラストサムライ』のロケ地でした。

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明治天皇に謁見すべく、男坂と呼ばれる急な階段を上るネイサン・オールグレン大尉(演:トム・クルーズ)一行。

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実際は男坂の上に御影堂がありますが、本編では皇居(舞台設定は東京)の一部が合成されています。

(2016年1月9日・11月3日撮影)

◆三条大橋
『ゴジラvsメカゴジラ』(1993)より
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閑話休題。京都市内を侵攻するゴジラ。ここもゴジラの迷走ぶりとあわせて以前に紹介しましたので、今回はフィギュアの合成写真にて。

特撮ロケ地巡り~京都編④(ゴジラ、京都で迷走か!?)
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2013/11/post-6e8e.html

◆清水寺
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三条大橋から北上するかと思いきや、なぜか清水寺へ迂回したゴジラ。ロケ地の詳細はいずれも先の記事でご紹介しております。

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ここからは新ネタです。「清水の舞台」でゴジラを発見する人々。指をさしている人がいますが、先の本編合成カットとのつながりを考えると、本来は反対側(画面左側)へ向くべきなんです。

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同じく「清水の舞台」で、偶然訪れていた修学旅行の学生も巻き込んで撮影したというカット。本編をよく見ると、すでに壊したはずの京都タワーが一瞬映ってしまっています(^_^;)

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こちらはメイキング映像に収録されている未使用カットから。人がいないため、前後のカットとうまく繋がらなかったのかもしれません。

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音羽の滝へ続く石段を駆け下りる人々。背後に見える格子戸の建物は釈迦堂です。

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奥に見えるのが釈迦堂。訪れたときは、その右隣にある阿弥陀堂の改修工事が行われており、仮歩道が設置された関係で撮影に使われた階段は塞がれていました。

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石段を下りた先には、寺名の由来となった「音羽の滝」があります。3本の筧から流れ出る水は「黄金水」「延命水」と呼ばれ、清めの水として尊ばれています。

『日本沈没』(2006年)より
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清水寺といえば、『シン・ゴジラ』の樋口真嗣監督による2006年版『日本沈没』では、本堂のすぐそばまで水没していました。ちなみに本堂は、檜皮(ひわだ)ぶき屋根のふき替え工事が今月から本格化しており、近々素屋根ですっぽりと覆われてしまうそうです。この風景も当面見納めです。

清水寺ふき替え「素屋根」が守る 半世紀ぶり修理、本格化へ(京都新聞2017年2月4日付)
http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20170204000090

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こちらは、京都の名刹で宝物が梱包されるシーン(ガンダムの富野由悠季監督が高僧役で出演している場面)の頭に出てくる京都市内の全景カットです。これも先のカットと同じ場所から撮影されていると思われます。DVDのスペシャル・コレクターズ・エディションの特典として封入されている樋口監督の撮影台本(レプリカ)にも「清水寺」の書き込みがあったので、間違いないと思われます。

『妖星ゴラス』(1962)より
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『妖星ゴラス』の終盤にも清水寺は一瞬映ります。地球に接近するゴラスの引力によって発生した大洪水に飲み込まれていくというシーンです。ただ、右手の本堂がきちんと映っておらず、画面も暗いので、一見すると清水寺かどうかわかりにくいです。

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撮影ポイントは、境内の子安塔付近に本堂を含む諸堂を一望できるスポットがあり、そこだと思われます。先の「清水の舞台」でゴジラを発見する人々のカットも、同じくここから望遠で狙ったのではないかと推測します。

(2015年11月3日/2016年11月3日撮影)

◆平安神宮
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『妖星ゴラス』には京都の名所がもう1カット登場します。平安神宮です。

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応天門がゴラスの引力によって発生した大洪水に飲み込まれます。ただ清水寺同様、このカットもアングルが中途半端な気がします。これら2カットのためだけに京都ロケを行ったとも考えにくいので、もしかすると既存のライブラリーフィルムに大波を合成したのかもしれません。

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平安神宮は1895年(明治28年)に平安遷都1100年を記念して創建された、比較的新しい神社です。すぐ近くには『ゴジラ音楽祭 in京都』が開催された「ロームシアター京都」があります。音楽祭については過去記事で詳しく述べています。

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ゴジラ60周年ロケ地巡り~『ゴジラvsキングギドラ』⑤(京浜島)
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2016/05/60vs-bfbb.html

(2016年1月19日撮影)

◆八坂の塔(法観寺)
『ゴジラvsメカゴジラ』(1993)より
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清水寺に立ち寄ったゴジラは二年坂に顔を出し、再び北上します。『東宝SF特撮映画シリーズ VOL.8 ゴジラvsメカゴジラ』(東宝 出版・商品事業室発行)の川北紘一特技監督のインタビューによると、特撮カットに出てくる五重塔は「八坂の塔」をイメージしたものだそうです。

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「八坂の塔」は聖徳太子が建立したという法観寺の一部で、現在の塔は1440年に足利義教によって再興されたものです。

(2017年5月2日撮影/追記)

◆出雲路橋
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鴨川の上流へと進むゴジラ。このカットの撮影場所は、下鴨神社の近くにある出雲路橋付近です。ここも以前にご紹介したスポットですので、フィギュア合成で(^^)

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ゴジラが目指すのは、ベビーゴジラがいる「生命科学研究所」ですが……

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2016年8月29日 (月)

ゴジラ60周年ロケ地巡り~『ゴジラvsモスラ』③・『三大怪獣地球最大の決戦』②(横浜)

『ゴジラvsモスラ』のロケ地巡りもいよいよクライマックスへ。ラストは横浜です。

◆横浜駅周辺
『ゴジラvsモスラ』(1992)より
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丹沢から横浜へとやってきたゴジラ。ロケ地は以前にご紹介した「横浜タカシマヤ」のそばある内海橋付近と、JR東海道本線と相模鉄道を跨ぐ県道13号線の平沼橋です。

特撮ロケ地巡り~横浜編①
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2012/08/post-69aa.html

◆中華街東門(朝陽門)
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モスラとバトラの戦いで破壊される中華街の門(牌楼というそうです)。以前紹介したときは恥ずかしながら不勉強で、本編に登場する門の形状が実際のものとあまりにもかけ離れていたことから架空の門ではないかと思っていたのですが、東門周辺であるとコメントにて教えていただきました。ありがとうございます。というわけでリベンジです。

特撮ロケ地巡り~横浜編②(中華街)
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2012/08/post-885f.html



『ゴジラvsモスラ』のブルーレイ映像特典「ゴジラシリーズ ロケーションガイド 臨海都市上陸篇」では映画制作当時の東門の写真も紹介されており、ミニチュアは本物をしっかりと再現したものだったようです。新しい門が竣工したのは2003年。工事中の様子はこちらのサイトで紹介されています。

めりた・グッドボーイさん:http://merita.jp/yokohama-sketch/04/index.html

(2015年11月14日撮影)

◆スターホテル横浜
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続いて、ビルの屋上からゴジラ・モスラ・バトラの三つ巴の戦いを見守る藤戸拓也(演:別所哲也)たちとコスモス。

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先の「ゴジラシリーズ ロケーションガイド 臨海都市上陸篇」によると、ロケ地は「横浜マリンタワー」の近くにある「スターホテル横浜」の屋上だったとのこと。夏場はビアガーデンも開催されているそうですが、訪れたときは残念ながらシーズンオフでした。いつか横浜へ出張の際にはぜひ泊まってみたいと思います。

(2015年11月14日撮影)

◆横浜マリンタワー
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マリンタワー方面へ向かうモスラ。実景の空撮映像との合成が当時としては斬新でした。

『三大怪獣地球最大の決戦』(1964)より
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そのマリンタワーは『三大怪獣地球最大の決戦』でキングギドラに襲撃されます。以前に紹介済みのスポットではありますが、今回はより本編に近いアングルで。

特撮ロケ地巡り~横浜編③(氷川丸・横浜マリンタワー)
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2012/08/post-b5d8.html

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今回の撮影場所は「横浜港大さん橋国際客船ターミナル」です。マリンタワーは2008年に灯台としての役目を終え、2009年にリニューアル。その際、それまでの紅白の塗装から外側を光沢を押さえた「シルバー」に、内側を「ブラウンオリーブ」(茶色みがかった緑色)に塗り替えらたそうです。ただ、以前の紅白の塗装も、1961年の開業当時は紅白の7等分塗りだったものが、1989年の横浜博覧会を機に赤から白のグラデーションに変更されていたとのこと。同じ紅白でも『三大怪獣地球最大の決戦』と『ゴジラvsモスラ』とでは微妙に異なっていたようであります。

横浜経済新聞
横浜マリンタワーの外観、紅白からシルバーに-来春オープン」(2008年03月26日付)
横浜マリンタワーのお披露目会ー23日にリニューアルオープン」(2009年05月20日付)

(2015年11月14日撮影)

◆日本郵船氷川丸
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『三大怪獣地球最大の決戦』でゴジラ出現ポイントのすぐそばに係留されている「日本郵船氷川丸」。前回訪れたときは休館日だったので、これもリベンジしてきました!

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とはいえ、完全一致とはいかず、またもや船外からという中途半端なアングル。その理由は……

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2016年8月 4日 (木)

ゴジラ60周年ロケ地巡り~『ゴジラvsモスラ』②・『メカゴジラの逆襲』①(東京・千葉)

「ゴジラ60周年ロケ地巡り」といっておきながら、本当はもう62周年。最新作『シン・ゴジラ』も公開され、一体いつになったら完結するのかと自分でも気が遠くなりつつありますが、『ゴジラvsモスラ』ロケ地探訪、続いては東京・千葉編です。今回もいろいろと脱線しながら進めてまいります(最初から言っておきますw)

◆世界貿易センタービルディング
『ゴジラvsモスラ』(1992)より
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浜崎橋JCT付近から上陸しようとするモスラ。以前にも紹介した浜松町の「世界貿易センタービルディング」からのアングルですが、今回はプラモデルのモスラを合成してみました。前にも書いていますが、この東向きアングルは『帰ってきたウルトラマン』(1971)や、『東京湾炎上』(1975)にも出てくるので、比べてみると街並みの変化がよくわかります。

特撮ロケ地巡り~東京・港区編②(世界貿易センタービル)
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2014/02/post-da66.html

『メカゴジラの逆襲』(1975)より
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こちらは、ゴジラシリーズ第15作『メカゴジラの逆襲』からムガール(演:睦五郎)と津田(演:伊吹徹)が東京の改造計画を語るシーン。

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同じ「世界貿易センタービルディング」の北側、汐留方面の風景が映し出されます。東京はブラックホール第三惑星人に改造されるまでもなく再開発が進み、汐留操車場があった場所は現在「汐留シオサイト」となっています。


『メカゴジラの逆襲』は1975年3月15日に公開。観客動員数は97万人で、ゴジラシリーズのワースト記録となってしまい、本作をもって昭和ゴジラシリーズは終止符を打たれることになります。本多猪四郎監督にとっても最後にメガホンをとった映画となりました。「東宝チャンピオンまつり」の一本であり、ゴジラは子どもたちを守るヒーローとして描かれていますが、本多演出と伊福部昭さんの音楽によって作品自体は重厚な仕上がりとなっています。もしかすると、そのアンマッチが当時の子どもたちや大人のファンには受け入れ難いものだったのかもしれません。正直、私自身も中学生時代に初めてビデオで観たときの印象は暗く、それ以来視聴する機会の少ない作品となっていました。ただ、最近になって改めて観直してみると、学会を追われた真船博士の哀しみや、『怪獣大戦争』にも通じるサイボーグ少女・桂(演:藍とも子)と海洋開発研究所の一之瀬(演:佐々木勝彦)の悲恋など、本多監督らしい大人のドラマがしっかり描かれており、再評価されるべき作品だと感じます。

(2013年4月13日撮影)

東急プラザ赤坂(赤坂エクセルホテル東急)
『ゴジラvsモスラ』(1992)より
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さて、話を『ゴジラvsモスラ』に戻します。コスモスを追って東京に上陸したモスラは、赤坂方面へ進みます。エキストラによる避難シーンは、赤坂見附周辺で撮影されています。

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ロケ地は「赤坂 エクセルホテル東急」の2階にあるショッピングアーケード「東急プラザ赤坂」です。

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このカットは、赤坂見附交番のすぐ隣りにある歩道橋の袂から望遠で撮影。道路標識や街灯の位置が変わっています。

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ちょっと角度が違いましたが、ホテルの外壁の様子などは当時のままです。

『地震列島』(1980)より
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こちらは、1980年に公開された東宝の『地震列島』より、主人公の地球物理学者・川津陽一(演:勝野洋)が自身の研究所へと向かうシーン。

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先の「東急プラザ赤坂」から地下鉄赤坂見附駅の駅ビル「ベルビー赤坂」を望遠で狙ったアングルです。

(2016年7月6日撮影)

◆赤坂見附駅(ベルビー赤坂)
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同じく『地震列島』より、物語中盤で川津陽一が離婚協議のために表参道の割烹料亭へ向かうべく、地下鉄に乗ろうとするシーン。

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川津は矢印で示した出入口から地下へ下りていきます。「ベルビー赤坂」は、1979年の開業以来ファッションビルとして運営されていましたが、2012年に閉店。2013年からは「ビックカメラ赤坂見附駅店」が入居しています。ビックカメラの入居にあたって耐震工事が行われたそうで、1階付近の様子は大幅に変わっています。

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エスカレーターで地下へ下りる川津。駅のホームで妻・裕子(演:松岡嘉代)と待ち合わせをし、2人は銀座線に乗り込みます。地下鉄に乗るまでの一連のカットは手持ちカメラで撮影されているのですが、ゲリラ撮影でしょうか?

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エスカレーターはかなり改装されており、残念ながら当時の面影はありません。

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B1Fの銀座線表参道・渋谷方面行のホームです。大地震発生後、車両から降りた乗客が大挙して押し掛けます。本編はもちろんセットです。なお、銀座線は走行用のレールと並行して給電用のレールが敷かれている第三軌条方式です。非常時とはいえ、実際には線路に降りるのはかなり危険だと思います。

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混乱する赤坂見附駅の構内。現在は改装されており、写真右側の丸ノ内線ホームには、2007年に可動式ホーム柵が設置されました。改装前の様子はネズミツオさんのブログで詳しく紹介されていますが、本編のセットはかなり忠実に再現されたものだったようです。

ネズミツオさんのブログ「三つ子の魂百まで…トラウマニア」
http://ameblo.jp/nezumitsuo/entry-11276114780.html

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再び銀座線のホーム。銀座・浅草方面から地下鉄車両とともに鉄砲水が迫ります。

(2015年7月2日撮影)

◆元赤坂
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本編に登場する川津研究所の外観(玄関)も、実際に赤坂見附のすぐ近くある元赤坂のビルが撮影に使用されています。

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ただし、そのビルは現存せず、現在は綜合警備保障(ALSOK)の本社が入居する「安全ビルレジデンス」に建て替わっています。

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川津研究所の内部はセットだと思われますが、本編をよく見ると、奥の棚の上にはなんと第1作でゴジラを倒したオキシジェン・デストロイヤーが!?

(2016年7月6日撮影)

◆弁慶橋
『ゴジラvsモスラ』(1992)より
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ゴジラネタに戻ったところで、続いては弁慶橋での避難シーン。こちらのロケ地は以前にご紹介済みです。

特撮ロケ地巡り~東京・赤坂見附編①(赤坂見附交差点・弁慶橋)
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2012/10/post-54dc.html

『007は二度死ぬ』(1967)より
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この弁慶橋付近では、『007は二度死ぬ』でカーチェイスが繰り広げられています。ボンドとアキが乗るボンドカー(トヨタ2000GT)が、敵のアジトである大里化学工業(外観は「ホテルニューオータニ東京」のザ・メイン)の敷地から脱出するシーンです。

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ボンドカーを敵のクラウンが追いかける場面に弁慶橋(空中写真【A】)が一瞬映ります。『007は二度死ぬ』のロケ地については後述。

(2016年7月6日撮影)

◆東京ガーデンテラス紀尾井町
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また横道にそれたところで、赤坂見附にあった旧赤坂プリンスホテル跡地は現在、大型複合市街施設「東京ガーデンテラス紀尾井町」となっています。今年5月から一部店舗が営業を開始し、先日7月27日に正式にグランドオープンしました。

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敷地内にある赤坂御門の石垣の上は「空の広場」として開放されているのですが……

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2015年7月10日 (金)

ゴジラ60周年ロケ地巡り~『ゴジラvsビオランテ』⑤(北摂エリア)

前回から早くも1か月以上過ぎてしまいましたが、引き続き『ゴジラvsビオランテ』から大阪・北摂エリアのロケ地を巡っていきます。

◆万博記念公園駅(ホテル阪急エキスポパーク前)
『ゴジラvsビオランテ』(1989)より
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大阪ビジネスパークを後にしたゴジラは、万博記念公園周辺を通って若狭湾へ向かったようです。本編で「太陽の塔」の手前に見える建物は、大阪モノレールの万博記念公園駅です。私事ですが、黒い煙が上がっている付近に自宅があります(^_^;)

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こちらは万博記念公園駅から撮影ポイント(黄色の矢印)を見た写真です。「ホテル阪急エキスポパーク」前で撮影されています。【A】

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先ほどの比較写真を見てもおわかりのように、現在は駐車場との境に植えられた木々が成長していて、本編と同じポジションからの撮影は困難でした。

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それにしても、「太陽の塔」を入れ込みたいならもっと良い場所があるのに、なぜあの場所からの撮影だったのでしょうか。
ちなみに、こちらの写真は万博記念公園駅から撮影したものですが、右手奥に球体の遊具が見えます。その付近には、1970年の大阪万博会期中は「三菱未来館」がありました。

「EXPO'70パビリオン」展示模型
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「三菱未来館」では、「日本の自然と日本人の夢」をテーマに、円谷英二特技監督率いる東宝の特撮スタッフが手掛けた映像が上映されていました。暴風雨、火山の噴火から暗黒の宇宙、海底基地から見た海の神秘、未来都市などが、伊福部サウンドとともに、当時の最新技術で映し出され、動く歩道で疑似体験できる人気のパビリオンだったようです。


なお、伊福部昭さんの楽曲の一部は、先述のとおり『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』にも流用されています。また、映像は『ハワイ・マレー沖海戦』のDVDに映像特典として収録されています。円谷監督は、この「三菱未来館」向けの映像製作中に体調を崩し、逝去されたとのことです。

(2013年8月17日/2015年5月13日・5月30日撮影)

◆万博記念ビル(旧協会本部ビル)
『ガメラ対大魔獣ジャイガー』(1970)より
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さて、少し脱線したついでに、大阪万博が舞台となった他の特撮作品のロケ地もご紹介しておきたいと思います。まずは大阪万博開幕の一週間後、1970年3月21日に公開された『ガメラ対大魔獣ジャイガー』より、「エキスポタワー」から万博会場へとパンするこちらのカット。手前に見える建物は「万博記念ビル」です。【B】

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大阪万博開催当時は協会本部でした。現在は万博記念公園の事務所として健在です。撮影が行われた場所は「万博記念ビル」裏手の雑木林付近からだと思われます。

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その場所が撮影当時はどのようになっていたのかを知るために、万博記念公園内にある、かつての「鉄鋼館」を利用した記念館「EXPO'70パビリオン」に行ってみました。

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展示されていた会場模型を見てみると、「万博記念ビル」の裏手に展望スペースがあるのを確認できました。

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さらに、1971年に上空から撮影されたパネル写真も発見。

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本編カットと見比べると、やはりその展望スペースから撮影されたと見て間違いなさそうです。カメラがパンをし終えたところで、左手前に見える建物は「プレスセンター」です。1980年代に解体され、1990年に大阪府の外郭団体が運営する「オオサカサンパレス」が開業。2007年に現在の「ホテル阪急エキスポパーク」となりました。

(2015年5月13日・5月30日撮影)

◆旧中央バス団体入口・千里橋
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沢田圭介(演:炎三四郎)が弘(演:高桑勉)に万国博覧会の概要を説明するシーンです。本作は工事中の万博会場が舞台となっていました。【C】

「EXPO'70パビリオン」パネル写真より
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本編のカットは、「中央団体バス駐車場」(現・万博記念公園中央駐車場)と会場をつなぐ歩道橋の上で撮影されていたと思われます。

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その歩道橋は、現在は撤去されています。

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場内アナウンスで呼び出しを受ける沢田圭介。照明灯は当時のままです。奥に見える橋は「千里橋」です。

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塗装は変わっていますが、こちらも当時のままです。【D】

(2013年8月17日/2015年5月30日撮影)

◆旧エキスポランド・エキスポタワー周辺
『仮面ライダー』第7話「死神カメレオン 決斗!万博跡」(1971)より
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『仮面ライダー』では、万博会場に隣接する遊園地「エキスポランド」でロケが行われていました。地元の人間としては、「エキスポランド」は万博閉幕後も営業していたので、“万博跡”というサブタイトルに若干違和感があったのですが、調べてみると、「エキスポランド」が営業を再開したのは1972年3月15日からでした。つまり、休園中に撮影していたので“万博跡”だった、ということらしいです。納得。【E】

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この写真は2013年8月に撮影しました。「エキスポランド」は、2007年5月のジェットコースター事故の影響で来場者数が激減し、2009年2月に閉園しました。

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現在、跡地には大型複合施設の建設が進められています。

「エキスポランド跡地に『エキスポシティ』 今秋開業」(朝日新聞デジタル)http://www.asahi.com/articles/ASH3T5VCXH3TPTIL02W.html

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こちらは、本郷猛(演:藤岡弘)が人質となった立花藤兵衛と緑川ルリ子を救出に向かうシーン。撮影場所は、万博記念公園駅から公園南口へと続く階段です。本編は「エキスポランド」敷地内から撮影されているようです。道幅は当時よりも狭くなっています。【F】

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奥に「太陽の塔」が見えるこのカット。本編の右手に見える建造物は現存しません。

「EXPO'70パビリオン」展示模型
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万博開催当時、「太陽の塔」と「エキスポタワー」は動く歩道で結ばれていたそうですが、その施設の一部でしょうか。

『仮面ライダー』第7話オープニングより
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この階段では、1クールのオープニング映像も撮影されています。

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奥に「エキスポタワー」が見えます。

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「エキスポタワー」は1990年9月に営業を終了しました。その後10数年放置状態となり、老朽化のため、2002年から翌年にかけて解体・撤去されました。【G】

(2013年8月17日/2015年3月21日・5月13日・5月30日撮影)

『仮面ライダー』第7話「死神カメレオン 決斗!万博跡」(1971)より
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垂直に立てられた3本の柱と多面体の展望室が特徴的だった「エキスポタワー」は、高さ127mと決して高くはありませんでしたが、海抜65mの千里丘陵の上に建っていたこともあり、大阪の至るところから目につく存在でした。私も幼い頃に、一度だけ上ったことがありますが、非常に見晴らしが良かったことを覚えています。

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「エキスポタワー」に捕えられた立花藤兵衛(演:小林昭二)と緑川ルリ子(演:真樹千恵子)。階段の様子も含め、在りし日の「エキスポタワー」の様子は、こちらのサイトで詳しく紹介されています。

エキスポタワー写真館
http://homepage1.nifty.com/forever70s/expotower/index.html

◆旧ソ連館・千里ニュータウン
『ガメラ対大魔獣ジャイガー』(1970)より
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再び『ガメラ対大魔獣ジャイガー』に戻ります(ゴジラの話はどこへやら…)。大阪万博の会場が舞台となる本作ですが、本編に登場するミニチュアは「ソ連館」のみでした。

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こちらは映画の序盤で紹介される本物の「ソ連館」。私は大阪万博の後に生まれた世代なのでよくわからないのですが、レーニン生誕100周年ということで、かなり力の入ったパビリオンだったそうです。

「EXPO'70パビリオン」より
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宇宙開発の展示などに人気があり、入館者数は「月の石」が展示されていた「アメリカ館」を抜いてNo.1だったとか。

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さて、この「ソ連館」の位置を頼りに、ガメラとジャイガーが戦った場所を推測してみたいと思います。

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まず、「ソ連館」の位置を把握するために、「EXPO'70パビリオン」のショップで販売されていた「日本万国博覧会公式ガイドマップ(復刻版)」を購入してみました。このマップから、「ソ連館」は万博会場の北口側にあったことを確認。

国土地理院ホームページ 空中写真MKK712X-C2-15(1971/05/09)よりトリミング加工
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次に、万博開催当時の空中写真は見つからなかったので、翌1971年の空中写真に「ソ連館」の位置を重ね合わせてみました。本編では、2大怪獣の背後に千里ニュータウンの一部と思われる団地のミニチュアが置かれていましたが、それらは「府営千里藤白台住宅」と「府営古江台住宅」辺りではないかと思われます。【H】

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こちらは現在の「府営古江台住宅」です。本編と比較してみると……

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2015年5月24日 (日)

ゴジラ60周年ロケ地巡り~『ゴジラvsビオランテ』④(大阪ビジネスパーク周辺)

前回につづいて『ゴジラvsビオランテ』から、大阪ビジネスパーク(OBP)周辺のロケ地をご紹介していきます。一気にいきます!

◆新鴫野橋
『ゴジラvsビオランテ』(1989)より
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ホテルニューオータニ大阪」(右)上空から「OBPキャッスルタワー」(左)の背後へ移動するスーパーX2。

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本作でモブシーンが撮影された「新鴫野橋」からのアングルが近いです。【A】

◆大阪城新橋①
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中之島方面から大阪ビジネスパークへ進むゴジラ。【B】

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手前は「大阪水上バス」の乗り場になっています。若干、シャッターチャンスを逃してしまいました…。

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本編は、東宝砧撮影所の第2スタジオに作られたミニチュアセットなので、同じようなアングルで撮るのは難しいです。

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大阪城新橋」のミニチュアは、遠近感を強調するために極端なパースが付けられていたそうです。近代映画社の『スクリーン特編版 ゴジラvsビオランテ特集号』(1990年1月10日発行)に、その写真が掲載されています。 このカットは照明効果も素晴らしいです。

◆極楽橋付近
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権藤らを乗せた自衛隊のヘリコプターが、「大阪城ホール」付近に着陸するシーン。アングル的には極楽橋付近の石垣からの眺めが近いです。ただ、本編はホールの屋根ごしに撮られていますが、現地で屋根は見えません。実際はもう少し右手にあります。映画ではわかりやすく表現するために、ときにセットの位置を微妙に変えたり、大きさを強調して撮るんですね。【C】

◆大阪城新橋②
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大阪ビジネスパークへ向かう権藤ら自衛隊の砲撃隊員。DVDのオーディオコメンタリーによれば、撮影は早朝に行われたとのこと。【B】

◆城見1交差点付近
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TWIN21」(左)に迫るゴジラ。ちなみに左側は「松下IMPビル」(1990年3月竣工)で、中央は「クリスタルタワー」(1990年8月竣工)です。いずれも、映画公開当時はまだ建設中でした。【D】

◆クリスタルタワー
『モスラ3 キングギドラ来襲』(1998)より
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完成した「クリスタルタワー」の上空は、キングギドラが通過しました。【E】

◆読売テレビ本社ビル・大阪東京海上日動ビルディング
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キングギドラは、そのまま「読売テレビ本社ビル」(左)と「大阪東京海上日動ビルディング」(右)の上空をかすめ、名古屋方面へ移動します。【F】

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実際はこの位置から撮影されていると思います。先の現地写真は、引きが足りなかったので、付近の駐車場から撮影しました。

◆TWIN21①
『ゴジラvsビオランテ』(1989)より
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さて、ANB弾を抱えて「TWIN21」前にやってきた権藤と砲撃隊員たち。【G】

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迫るゴジラを睨む権藤(演:峰岸徹)。実際のゴジラは左側にいるのですが…。

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4つのビルに別れていく権藤たち4人。4つのビルとは、先の「松下IMPビル」と建設中だった「クリスタルタワー」。そして、この双子の「TWIN21」です。

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「TWIN21」に乗り込む権藤。彼が向かったのは右手の、パナソニックグループ関連企業が入居する「OBPパナソニックタワー」です。

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1階のアトリウムでは、イベントがよく行われています。関西では、24時間テレビ『愛は地球を救う』で、読売テレビの募金会場としてもお馴染みの場所です。

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ゴジラが映し出されているのはパナソニック(旧松下電器)製の大型映像装置「アストロビジョン」です。

『ウルトラマンダイナ』第35話「滅びの微笑(前編)」(1998)より
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ここで再び脱線して『ウルトラマンダイナ』より。「滅びの微笑(前・後編)」に登場する、「コスモネット」を共同開発した大阪のPWI中央研究所は、「TWIN21」で撮影されました。

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撮影に使用された1階のパナソニックのショールームは、2013年に開業した「グランフロント大阪」に移転し、現在は閉鎖されています。

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元GUTS隊員のホリイが、PWI中央研究所へ向かうシーン。前回紹介した新鴫野橋のカットの続きです。ホリイの車は、「大阪ビジネスパーク円形ホール(旧MIDシアター)」の駐車場に入っていきます。

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同じ場所から「TWIN21」を見上げたのがこちら。木々がかなり成長しており、視界を遮ります。「TWIN21」は、1986年に竣工。高さ157m、地上38階、地下1階建ての双子ビルですが、名称はそれぞれ異なります。左側が『ゴジラvsビオランテ』で権藤が乗り込んだ「OBPパナソニックタワー」、右側が「MIDタワー」です。

『ウルトラマンダイナ』第35話「滅びの微笑(前編)」(1998)より
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アスカ(演:つるの剛士)に語りかける元GUTS隊員のシンジョウ(演:影丸茂樹)。「滅びの微笑(前・後編)」は、大阪ロケの前・後編というだけでなく、前作『ウルトラマンティガ』のレギュラー陣も出演する豪華版でした。現在は、「ホテルモントレ ラ・スール大阪」が入る「マルイトOBPビル」(2005年竣工)が奥に見えます。

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看板にある「MIDシアター」は、現在「大阪ビジネスパーク円形ホール」という名称に変わっています。

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私事で恐縮ですが、この番組が放映される2年前に、ここで開かれた新卒合同企業説明会に参加して現職の会社に入りました(^_^;)

◆寝屋川・第二寝屋川合流地点
『ゴジラvsビオランテ』(1989)より
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閑話休題。寝屋川に沿ってスーパーX2の方へと歩み寄るゴジラ。UCCの看板は実在します。【H】

◆大阪城京橋プロムナード
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ありったけのミサイルとバルカン砲の攻撃を受けるゴジラ。【I】

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京橋駅と大阪ビジネスパークを結ぶ「大阪城京橋プロムナード」からの眺めが、ちょうどスーパーX2の視点に近いです。

◆片町2丁目付近
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スーパーX2がかわしたゴジラの放射熱線によって被害を受けた地域は……

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2015年5月17日 (日)

ゴジラ60周年ロケ地巡り~『ゴジラvsビオランテ』③(大阪城・中之島周辺)

『ゴジラvsビオランテ』から、前回に続いて今回も大阪のロケ地をご紹介していきます。今回は、大阪城・中之島周辺です。

◆大阪城・大阪城ホール
『ゴジラvsビオランテ』(1989)より
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大阪港にゴジラが出現した直後、斉藤由貴のヒット曲『夢の中へ』のイントロとともに登場する「大阪城天守閣」。『夢の中へ』は、もともと1973年に井上陽水が発表したヒット曲で、映画で使用された斉藤由貴のカバー盤は、『ゴジラvsビオランテ』の公開と同じ1989年4月21日にリリースされています。当時は、NECのパソコンのCMソングとしても耳馴染みでした。

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続いてカメラは左へパンして隣接する「大阪城ホール」へ。現在は木々が成長していてホールが隠れてしまっています。

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撮影ポイントは、大阪城公園と大阪ビジネスパークを結ぶ「新鴫野橋」付近からと思われます。【A】

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斉藤由貴と思われる女性歌手がコンサートを中止し、観客に避難を呼びかけるシーン。

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この名称石碑は「大阪城ホール」の南玄関前にあります。【B】
「大阪城ホール」は、公式サイトによると、「大阪築城400年まつり」のメインイベント会場として1983年に建設されたそうです。構造は楕円形のドーム式で、最大収容人数は16,000人です。


ところで、このシーンで斉藤由貴がノンクレジットで声だけの出演をしているのは、脚本・監督を務めた大森一樹監督が、同じ東宝で『恋する女たち』(1986)、『トットチャンネル』(1987)、『「さよなら」の女たち』(1987)と、3作にわたって斉藤由貴主演作を手掛けた縁からだと思われます。

『トットチャンネル』(1987)より
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なお、『トットチャンネル』はテレビ放送黎明期の昭和28年頃を舞台にした物語ということで、撮影中のゴジラがトラックで運ばれていくシーンがあります。


富山省吾プロデューサーの著書『ゴジラのマネジメント プロデューサーとスタッフ25人の証言』によると、大森監督は、『トットチャンネル』の製作時点ではすでに『ゴジラvsビオランテ』の脚本・監督として、田中友幸プロデューサーから抜擢されていたようです。

『「さよなら」の女たち』(1987)より
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また、同年の『「さよなら」の女たち』では、川北紘一特技監督がクライマックスで洋館が崩れるシーンの特撮を手掛けています。

『君は僕をスキになる』(1989)より
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さらに、『ゴジラvsビオランテ』と同年に公開された『君は僕をスキになる』では、アトラクション用の84ゴジラ(?)が、サンタクロースの格好をして斉藤由貴の前に登場するシーンがあります(ちなみに本作は、1984年版『ゴジラ』の橋本幸治監督が「協力製作」としてクレジットされています)。


この作品で監督デビューした渡邊孝好監督は、先の大森監督による斉藤由貴三部作で監督助手を務めていました。『ゴジラvsビオランテ』との関係性を考えると、ゴジラと斉藤由貴、大森監督と渡邊監督でお互いにエールを送りあっているようで興味深いです。

◆新鴫野橋
『ゴジラvsビオランテ』(1989)より
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さて、再び本編に戻ります。人々が避難するシーンは、先の「新鴫野橋」で撮影されています。現在の橋は、映画公開前年の1988年に架け替えられたものです。【A】

『ウルトラマンダイナ』第35話「滅びの微笑(前編)」(1998)より
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ちょっと脱線して『ウルトラマンダイナ』より。元GUTS隊員のホリイが、「コスモネット」を共同開発する大阪のPWI中央研究所へ向かうシーンも新鴫野橋で撮影されています。実は、橋の向こう側は車両通行止めになっており、現実に即して考えるなら、ホリイの車は大阪城へ向かって橋を渡った後、Uターンして戻ってきたことになります。ただ、ホリイはTPC(地球平和連合)科学局の権限で通行できたのかもしれませんが…。

『ウルトラマンダイナ』第36話「滅びの微笑(後編)」(1998)より
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こちらは、後編でウルトラマンダイナが登場するシーン。これも新鴫野橋からのアングルです。

(2013年8月11日/2014年7月28日・8月23日撮影)

◆中之島周辺
『ゴジラvsビオランテ』(1989)より
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中之島周辺のロケ地は、当ブログで以前に何度かご紹介していますので、今回は「大阪市中央公会堂」に迫るゴジラをフィギュアで再現してみました。本編で大阪港にゴジラが出現するのは日中でしたが、上陸は夜間でした。その間、ゴジラは自衛隊の通常兵器で足止めされていたのでしょうか?

「サラジア・オイル・コーポレーション」が入居するビル
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2013/09/post-d839.html

大阪市庁・淀屋橋(本編未使用)・中央公会堂
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2013/09/post-d52a.html

阪神高速破壊シーンの検証
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2013/10/post-f168.html

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こちらは、映画公開前の1989年11月28日の朝日新聞です。

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ゴジラによる被害状況が克明に記載されているのが興味深いですが、中央公会堂でのチャリティー試写会の広告記事となっています。私は残念ながら応募漏れでした(>_<)

◆大阪マーチャンダイズ・マートビル
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ゴジラの進路に合わせて中之島から大阪ビジネスパークへ移動する前に、天満橋の「大阪マーチャンダイズ・マートビル(通称:OMMビル)」にちょっと寄り道をします。【C】

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このビルの屋上から西側を望むと、先の中央公会堂をはじめ、ゴジラの進行ルートを一望できます。

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そして、反対の東側を望むと、大阪城や大阪ビジネスパークを一望できるのですが、眼下を見下ろすと……

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2015年5月 7日 (木)

ゴジラ60周年ロケ地巡り~『ゴジラvsビオランテ』②(関西国際空港・大阪港周辺)

お久しぶりです。仕事が繁忙期に突入してしまい、ちょっと間が空いてしまいましたが、前回に続いて『ゴジラvsビオランテ』から、我が地元・大阪のロケ地をご紹介します。

◆関西国際空港
『ゴジラvsビオランテ』(1989)より
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ゴジラと三枝未希が精神感応戦を繰り広げた関西国際空港(以下、関空)。映画公開当時はまだ建設中で、開港は5年後の1994年9月4日。『ゴジラvsスペースゴジラ』が公開された年です。大阪空港行きの飛行機から撮影した現在の写真と比較してみました。

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ゴジラと向き合う三枝未希(演:小高恵美)。今度は国内線の搭乗口から泉佐野方面を撮影した写真と比較してみました。本編で未希の背後に立っている3本の旗のうち、一番左の旗の後方に見える塔のような建造物が「りんくうゲートタワービル」ではないかと思ったからです。

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ところが、調べてみると「りんくうゲートタワービル」の工事着工は1992年で、竣工は1996年でした。このアングルがちょうどゴジラ目線ではないかと期待したのですが、残念ながら違ったようです。では、ゴジラはどの方角から三枝未希を見ていたのでしょうか?

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再度本編を検証します。謎を解くカギは、空港島と建設基地の位置関係。そして、3本の旗です。とはいえ、本編からは周囲の風景がわかりにくい上、国土地理院の空中写真は1992年以降のものしかありません。しかも、515haの広大な人工島(一期島)の建設基地が、そもそもこの1か所だけなのかどうかも疑問です。

そんな折、関空の建設に携わった企業のサイトを調べていると、「海洋工業株式会社」のWebサイトに建設基地が写っている写真を見つけました。

「動圧密工法」施工写真
http://www.kaiyo-mec.co.jp/dcm/dcm04.htm ※現在は公開されていません

この写真は、奥に関空連絡橋が写っていることから、建設基地の西側から撮影されていることがわかります。特筆すべきは、空港島の三角に突き出た部分が写っている点です。これは、本編での空港島と建設基地の位置関係と一致します。

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空港島の三角に突き出た部分は、現在もGoogleマップの航空写真で確認できますので、これで建設基地のおおよその位置が特定できます。さらに、三枝未希は3本の旗を背にして立っていますから、こちらの本編カットと見比べて考察すると、彼女は南向きに立っていたことになります。地図で位置関係を確認します。

未希の立っていた場所(建設基地)をとするなら、ゴジラの出現推定ポイントはの位置となります。
※Googleマップのデフォルトの縮尺は大きいので、ぜひ拡大してご覧ください。

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こちらは泉佐野側のマーブルビーチから関空を望んだ風景です。これがゴジラ目線に近いアングルということになります。

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フィギュアを合成してみました。ゴジラはこのような向きで未希と対峙していたのではないかと思われます。

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ところで、再びこのカットに戻りますが、3本の旗の一番左の旗の後方に見える塔のような建造物は、いったい何だったのでしょうか?

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