ゴジラ60周年ロケ地巡り~『ゴジラvsビオランテ』②(関西国際空港・大阪港周辺)
お久しぶりです。仕事が繁忙期に突入してしまい、ちょっと間が空いてしまいましたが、前回に続いて『ゴジラvsビオランテ』から、我が地元・大阪のロケ地をご紹介します。
◆関西国際空港
『ゴジラvsビオランテ』(1989)より

ゴジラと三枝未希が精神感応戦を繰り広げた関西国際空港(以下、関空)。映画公開当時はまだ建設中で、開港は5年後の1994年9月4日。『ゴジラvsスペースゴジラ』が公開された年です。大阪空港行きの飛行機から撮影した現在の写真と比較してみました。


ゴジラと向き合う三枝未希(演:小高恵美)。今度は国内線の搭乗口から泉佐野方面を撮影した写真と比較してみました。本編で未希の背後に立っている3本の旗のうち、一番左の旗の後方に見える塔のような建造物が「りんくうゲートタワービル」ではないかと思ったからです。

ところが、調べてみると「りんくうゲートタワービル」の工事着工は1992年で、竣工は1996年でした。このアングルがちょうどゴジラ目線ではないかと期待したのですが、残念ながら違ったようです。では、ゴジラはどの方角から三枝未希を見ていたのでしょうか?

再度本編を検証します。謎を解くカギは、空港島と建設基地の位置関係。そして、3本の旗です。とはいえ、本編からは周囲の風景がわかりにくい上、国土地理院の空中写真は1992年以降のものしかありません。しかも、515haの広大な人工島(一期島)の建設基地が、そもそもこの1か所だけなのかどうかも疑問です。
そんな折、関空の建設に携わった企業のサイトを調べていると、「海洋工業株式会社」のWebサイトに建設基地が写っている写真を見つけました。
「動圧密工法」施工写真http://www.kaiyo-mec.co.jp/dcm/dcm04.htm ※現在は公開されていません
この写真は、奥に関空連絡橋が写っていることから、建設基地の西側から撮影されていることがわかります。特筆すべきは、空港島の三角に突き出た部分が写っている点です。これは、本編での空港島と建設基地の位置関係と一致します。

空港島の三角に突き出た部分は、現在もGoogleマップの航空写真で確認できますので、これで建設基地のおおよその位置が特定できます。さらに、三枝未希は3本の旗を背にして立っていますから、こちらの本編カットと見比べて考察すると、彼女は南向きに立っていたことになります。地図で位置関係を確認します。
未希の立っていた場所(建設基地)を赤とするなら、ゴジラの出現推定ポイントは緑の位置となります。
※Googleマップのデフォルトの縮尺は大きいので、ぜひ拡大してご覧ください。


こちらは泉佐野側のマーブルビーチから関空を望んだ風景です。これがゴジラ目線に近いアングルということになります。

フィギュアを合成してみました。ゴジラはこのような向きで未希と対峙していたのではないかと思われます。

ところで、再びこのカットに戻りますが、3本の旗の一番左の旗の後方に見える塔のような建造物は、いったい何だったのでしょうか?


そのことを確かめるために「関空展望ホール スカイビュー」へ行ってみました。場所は、先の地図で水色のポイントになります。ここは、関空を離着陸する飛行機を一望できる絶景スポットです(しかも無料!)。




余談ですが、ホール内にはシミュレーターで空の仕事を体験できるコーナーや、関空の歴史や仕組みを学ぶコーナーがあり、特撮心をくすぐる1/72の巨大なターミナルビル&旅客エプロン模型も展示されています。また、キッズルームもあるので家族で楽しめると思います(すべて無料!!)。


閑話休題。さて、私は滑走路のある南西方向とは間逆の北側の景色に注目します。ちなみに、展望デッキからこの方角を望むことはできず、ホール内からの撮影となります。気象レーダーの後ろ、大阪南港方面に狙い通り何かが見えます。

手持ちのデジカメではズーム倍率が足りなかったので、ビデオカメラで撮影してみました。めぼしい建造物は3つ。このうち、「大阪府咲洲庁舎(愛称:コスモタワー)」は1991年着工で1995年に竣工、「ドコモ大阪南港ビル」は2004年に竣工しているのでいずれも対象外です。白い煙突が特徴的な一番右の「関西電力南港発電所」は、1990年に1号機が稼働しています。

国土地理院ホームページ 空中写真KK892X-C11-2(1989/04/29)よりトリミング加工
映画公開と同年の1989年4月に撮影された国土地理院の空中写真では、建設中の煙突が確認できます。本編に映る塔の正体としては今のところこれが最も有力な候補です。
(2010年2月28日/2015年2月24日・4月30日・5月2日撮影)
◆大阪港・中央突堤

大阪湾から浮上するゴジラの主観カットです。地下鉄・ニュートラムのコスモスクエア駅のすぐ近くにある公園「シーサイド・コスモ」(下の地図【A】)から撮影した写真と比較していますが、実際は船の上(おそらく【B】付近)から撮影されています。
キネマ旬報社の『平成ゴジラ クロニクル』(川北紘一特別監修)によると、「船首に“ギロチン”と呼ばれる昇降機を取り付け、水中から顔を出すゴジラの目線を表現」したそうです。
ゴジラの目線の先にある赤い橋は港大橋です。本編では橋の左側に塔が見えますが、その塔は、かつて中央突堤にあったハーバーレーダー塔です。【C】

当ブログで何度かご紹介したことのある日本交通公社の航空写真集『空から見た大阪』(1980年発行)のP.62に、在りし日のハーバーレーダー塔を確認できました。ハーバーレーダー塔は、正式には「大阪船舶通航信号所」という海上保安庁の施設だったそうですが、ウォーターフロント開発の進展によって埋立地に移転し、『ゴジラvsビオランテ』公開の翌1990年11月に撤去されたとのことです。以下のサイトで詳しく紹介されています。
【参考】
大阪市港区広報紙『広報みなと』より
「平成23年1月号:大阪港のかつてのシンボル ハーバーレーダー」http://www.city.osaka.lg.jp/minato/cmsfiles/contents/0000160/160768/2301.pdf
『おおさか、大阪、OSAKA』より
「おおさか昔アルバム その4 ~大阪港 中央突堤~」
http://osaka-osaka-osaka.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-32b1.html

こちらは現在の中央突堤です。左側のカラフルな建物は「海遊館」です。
海を渡り、中央突堤へとやってきました。レーダー塔があった場所はきれいに整備されています。この真下を「大阪港咲洲トンネル」が走っており、右側の建物はその換気所です。


ここはベイエリアを一望できるスポットとなっていますが、役目を終えた施設が一部残っていて、どこか物悲しい雰囲気も漂っています。ちなみに、中央突堤は『ゴジラの逆襲』でゴジラとアンギラスが上陸した場所でもあります。
ゴジラ60周年ロケ地巡り~『ゴジラの逆襲』①(中之島・大阪水上警察署・中央突堤)
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2014/07/60-8b55.html
『ウルトラマンダイナ』第36話「滅びの微笑(後編)」(1998)より

ここで、ちょっと脱線して『ウルトラマンダイナ』から。大阪・神戸ロケが行われた「滅びの微笑(前編・後編)」の後編では、宇宙合成獣ジオモスが南港に出現するシーンがあります。そして、大阪ベイエリアを紹介するパンショットの頭に、先ほどの港大橋が映ります。実際は【D】付近からのアングルと思われますが、現在はその位置から港大橋を望むことはできないので、ここでは【A】から撮影した写真と比較しています。

港大橋は、大阪築港と南港を結ぶ全長980mのトラス橋です。完成はしたのは『ゴジラ対メカゴジラ』が公開された1974年ということで、意外に古い橋だったんですね。


先のパンショットの続きです。カメラが右へパンする途中に映る逆円錐形の建物と、2本の照明灯が一致します。【D】

逆円錐形の建物は「大阪港国際フェリーターミナル」です。ここから中国の上海や韓国の釜山へ向かうフェリーが就航しています。建物のデザインが、どことなく対岸の「海遊館」のそばにある「大阪文化館・天保山(旧サントリーミュージアム[天保山])」に似ているなと思ったら、設計者が同じ安藤忠雄さんでした。特撮ファンなら、どちらも科学特捜隊日本支部の基地を連想すると思います。


一連のパンショットの続きで、カメラがフィックスしたポイントになります。付近一帯は、『ウルトラマンダイナ』放映当時はまだ造成中でしたが、現在は整備が進んでいます。【D】
◆大阪府咲洲庁舎(旧大阪ワールドトレードセンタービルディング)

ジオモスを迎え撃とうと集結する地球平和連合TPCとスーパーGUTS。出現場所を予測できているのは、元GUTS隊員のホリイが開発したモンスターキャッチャーのおかげです。この辺りは、同じ大阪でロケが行われた『ウルトラマン』の第26・27話「怪獣殿下(前篇・後篇)」のオマージュですね。撮影は「大阪府咲洲庁舎」前の空き地で行われていますが、現在は駐車場になっています。【E】

右端のビルが「大阪府咲洲庁舎」です。2010年6月に大阪府に譲渡されるまでは「大阪ワールドトレードセンタービルディング」という名称でした。先述の通り1995年に竣工しており、高さ256.0m、地上55階・地下3階建ての日本で4番目に高い超高層ビルです。左端のビルは「ミズノクリスタビル」です。
◆ミズノクリスタビルほか

アスカ(演:つるの剛士)に語りかけるコウダ副隊長(演:布川敏和)。後方左側は「ミズノクリスタビル」(1992年竣工)、右側は「コスモプラザビル」(1997年竣工)です。「ミズノクリスタビル」は、スポーツ用品メーカー・ミズノ(美津濃株式会社)の大阪本社ビルです。ミズノといえば、当ブログで以前にご紹介していますが、淀屋橋の旧本社(現在の大阪店)が、『ゴジラの逆襲』でゴジラとアンギラスの戦いに巻き込まれ、倒壊しています。
特撮ロケ地巡り~大阪編②(中之島~その2)
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2013/09/post-d52a.html


ジオモスを攻撃するアスカ。一連のシーンは、いずれも同じ場所で撮影されています。右端に見えるビルは「ハイアットリージェーンシー大阪」(1994年開業)です。
(2013年8月11日/2014年8月23日/2015年3月14日撮影)
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こんばんは。突然失礼します。
とてもよく研究されてますね。
僕も特撮が大好きで、色々と調べてるうちにこちらのブログにたどり着きました。
更新楽しみにしてます( ^ω^ )
投稿: ザキ | 2016年10月20日 (木) 23時39分
ザキさん、ありがとうございます。
なかなか更新できていませんが、チビチビやっていきますので
今後ともよろしくお願いいたします!
投稿: TAKA | 2016年10月23日 (日) 06時03分