ゴジラ60周年ロケ地巡り~1984年版『ゴジラ』③(新宿副都心)
1984年版『ゴジラ』から、前回につづいて新宿エリアのロケ地をご紹介していきます。今回は新宿副都心編です。
◆新宿中央公園
『ゴジラ』(1984)より
まずは、新聞記者・牧吾郎(演:田中健)が、奥村尚子(演:沢口靖子)に兄が生きていることを告げるシーンから。
ロケ地は「新宿中央公園」です。現在は、正面に東京都庁の第一本庁舎が建っており、高層ビル群を望むことはできません。 【A】
反対側です。こちらは当時の面影が残っていますが、木々がかなり成長しています。
この橋は「公園小橋」という名前です。景観が変わってしまったためか、夜はひっそりとしていて、とてもカップルが歩くようなデートスポットという感じではありませんでした(^_^;)
この付近は、ハイパワーレーザービーム車によって誘導されたゴジラが、副都心エリアに侵入したポイントでもあります。【B】
また、首都防衛戦闘機・スーパーXは、防衛省のある市ヶ谷方面から「新宿NSビル」(左)と「新宿ワシントンホテル本館」(右)の間を通って「公園小橋」の上空付近に飛来しました。
「新宿ワシントンホテル本館」前で転回するスーパーX。
クライマックスで伊豆大島へと去っていくゴジラは、スーパーXの飛行ルートを逆行します。
さて、再びハイパワーレーザービーム車によって超高層ビル群の方へと誘導されるゴジラのシーンに戻ります。正面に見える橋は「公園大橋」です。【C】
「公園大橋」からは、副都心エリア出現したゴジラを捉えたこのカットに近いアングルが得られます。
『ULTRAMAN』(2004)より
ちょっと脱線します。新宿中央公園前交差点からは、ビースト・ザ・ワンとウルトラマン・ザ・ネクストが戦った場所を望むことができます。【D】
ザ・ワンの攻撃を受けてザ・ネクストが跳ね飛ばされたのは「水の広場」です。そして、この画面左下付近が……
『ゴジラ』(1984)より
牧が尚子に兄の居場所を教えた場所になります。先の「公園小橋」からカットバックでここへワープします。 【E】
喜び勇んで兄のもとへ向かう尚子。ほとんど当時のままです。
本編で、尚子が牧の背後をわざわざ回り込んで去っていくのがちょっと不自然に感じていたのですが、実はスロープだったからなんですね。
余談ですが、今回の現地写真は2013年4月と2014年9月に撮影しています。後者はちょうどデング熱騒動のときでした。広場では、薄着で朝の体操されている高齢者の方がたくさんいらっしゃいましたが、大丈夫だったのでしょうか。まあ、カメラを持ってウロウロしていた私もあまり他人のことは言えませんが…。
カドミウム弾を飲み込んで倒れ込んだゴジラを見物しようと集まった大群衆。このカットは「新宿中央公園」側から捉えたアングルです。群衆がいる辺りは現在、東京都庁の第一本庁舎となっています。
『ゴジラvsビオランテ』(1989)より
次作『ゴジラvsビオランテ』では、5年後の新宿副都心の様子がほぼ同じアングルで描かれています。ゴジラが倒れ込み、倒壊させた「新宿住友ビルディング」(後述)は完全に復旧しており、東京都庁の第一本庁舎は建設中です。第一本庁舎は、前年の1988年に工事が始まり、翌1990年12月に完成しています。画面下の「新宿中央公園・水の広場」付近に、ゴジラの足跡を模した屋根が特徴的な「GODZIILA MEMORIAL LOUNGE」があるという設定になっています。
『ULTRAMAN』(2004)より
ザ・ワンと対峙するザ・ネクスト。これも前2カットとほぼ同じアングルです。手前に広がる「新宿中央公園」は、管理する新宿区や指定管理者のサイトでは「かつて淀橋浄水場だった場所に昭和35年、新宿副都心建設事業の一環として計画され、昭和43年に都立公園として開園」とあります。
ただ、実際には公園の敷地のほとんどは、六桜社(現・コニカミノルタ)の写真感光材製造工場だったようです。
工場があった頃の様子は、gooの古地図(「昭和22」または「昭和38」を選択)で確認することができます。
http://map.goo.ne.jp/map.php?MAP=E139.41.38.824N35.41.10.046&ZM=10&W=0
参考:『後之先』より「写真工業発祥の地」
http://gonosen.net/2012/09/24/%E5%86%99%E7%9C%9F%E5%B7%A5%E6%A5%AD%E7%99%BA%E7%A5%A5%E3%81%AE%E5%9C%B0%E3%81%AE%E7%A2%91/
◆ハイアットリージェンシー東京
『ゴジラ』(1984)より
「新宿中央公園・水の広場」から尚子が走り去っていった先は、ゴジラとスーパーXが対峙していたポイントとなります。【F】
そこでゴジラが放射熱線で破壊したのが「ハイアットリージェンシー東京」です。1980年に日本初のハイアットホテル「ホテルセンチュリーハイアット」として開業しています。
『ULTRAMAN』(2004)より
正面玄関側は、ザ・ネクストがザ・ワンを押し出した場所です。植え込みの様子が異なっていますが、もしかすると合成しやすいように本編側でCG処理されていた?【G】
◆新宿住友ビルディング
『ゴジラ』(1984)より
ゴジラに倒れ込まれ、そして倒壊させられる「三井住友ビルディング」。
地上52階・地下4階、高さは210.3m。映画公開の10年前、1974年3月6日に竣工しています。ちなみに、同年3月21日には『ゴジラ対メカゴジラ』が公開されています。
都庁通りからのアングルです。東京都庁の第一本庁舎と都議会議事堂を結ぶ通路に視界を遮られてしまいます。【H】
◆京王プラザホテル
放射熱戦で大穴をあけられるのは「京王プラザホテル」の本館です。
地上47階・地下3階、高さは178m。1971年6月に開業した新宿超高層ビル群の先駆け的存在であり、日本初の超高層ホテルでもあります。被害から逃れた右側の南館(高さ138m)は、1980年に開業しています。【I】
「京王プラザホテル」の正面玄関前は、映画前半で「林田生物物理研究所」へ向かう牧の車が通過したポイントです。【J】
◆新宿三井ビルディング
ハイパワーレーザービーム車によって超高層ビルの谷間に誘い込まれたゴジラ。左側のビルは「新宿三井ビルディング」(地上55階・地下3階・高さ225m、1974年竣工)、右側のビルは「新宿センタービル」(地上54階・地下4階・高さ222.95m、1979年竣工)です。【K】
『モスラ3 キングギドラ来襲』(1998)より
「新宿三井ビルディング」は、1984年版『ゴジラ』では破壊を免れましたが、『モスラ3』ではギングギドラが襲撃します。【L】
ここも植え込みの様子が当時とは異なります。ということは、先の『ULTRAMAN』もCG処理ではない可能性が高いですね。
若干前後しますが、後ろを振り返ると、キングギドラが「新宿NSビル」と東京都庁の第二本庁舎を破壊するカットの撮影ポイントとなります。
その少し先にある、中央通りへ下りる階段では……
人々が逃げ惑うシーンが撮影されています。
つづいて、階段から「新宿三井ビルディング」を見上げたカット。先の1984年版『ゴジラ』での煽りカットの撮影ポイントのすぐ近くです。
『ULTRAMAN』(2004)より
前回の最後に、崩落する「エステック情報ビル」をザ・ネクストが背中で支える場面の撮影ポイントをご紹介しましたが、その続きのカットです。はす向かいにある「新宿三井ビルディング」側から「工学院大学」を見たアングルです。【M】
「新宿三井ビルディング」越しに対峙するザ・ワンとザ・ネクスト。ここから戦いが始まります。【N】
(2013年4月28日、2014年9月18日・19日撮影/一部2015年3月5日撮影分追加)
最後にオマケです。
1984年版『ゴジラ』は、個人的にリアルタイムで観た初めてのゴジラ映画なので、自宅にはいくつかグッズが残っています。せっかくなのでご紹介したいと思います。まずは書籍関係です。左から……
・劇場パンフレット
・『東宝SF特撮映画シリーズVoL.1 ゴジラ』(東宝出版事業室、1985年1月15日初版)
・『コミックボンボンスペシャル3 GODZILLA’85』(講談社、1985年1月1日初版)
・『カラー版 ゴジラ』(実業之日本社、1984年12月10日初版)
どれももうボロボロですが、メイキング写真が充実していて今でも愛読しています。特に、『コミックボンボンスペシャル3 GODZILLA’85』は、巻末に昭和40年代に撮影されたとする東宝怪獣の着ぐるみの特写スチールが掲載されている貴重な資料です。
こちらは劇場で購入したポスター大全集(B5サイズ26枚入り)です。シールも付いていました。
劇場で購入した下敷きです。ほかに、ノートやカンペンケースも買ってもらいましたが、残念ながら行方不明です…。
これは何かに付いていたオマケのキーホルダーです。確かグリコのお菓子だったような気がします。
映画公開前の新聞広告です。同級生の工作の包み紙として使われていたものを譲ってもらったので、紙粘土が付着しています。
先の劇場パンフレットを改めて眺めていて、そこに掲載されている広告を見てふと欲しくなり、Amazonで先日購入した『THE MAKING OF GODZILLA 1985』(小学館、1985年1月15日初版)です。発売当時に立ち読みした記憶があるのですが、小遣いが足りなくて断念していました。こちらもインタビューとメイキング写真が満載で読みごたえ十分です。
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いつか84ゴジラの画面キャプチャ片手に新宿副都心を歩いてみたいという夢がある私にとって
大変参考になりました。そしてうらやましい(笑)!
VSビオランテ冒頭で銃撃戦が行われる地下鉄の降り口を探すのも夢です。
おそらく架空の降り口だとは思いますがどこかにあってほしいな~
投稿: XYZ | 2015年5月 5日 (火) 23時04分
XYZさん、ありがとうございます。
VSビオランテ冒頭で銃撃戦が行われる地下鉄の降り口は、DVDのオーディオコメンタリーによると、朝霞の自衛隊駐屯地(旧米軍基地跡)で撮影したと大森監督が語っていらっしゃいます。いろんな場所でそれっぽく撮影されているんですね。
投稿: TAKA | 2015年5月 6日 (水) 05時53分
なるほど、やはりセットなんですね。子供の頃からの謎がひとつ解けました。
今更ながら映像のマジックに感心しきりです
ますますロケ地巡り欲が高まってきました。ありがとうございました。
投稿: XYZ | 2015年5月 7日 (木) 21時27分