ゴジラ60周年ロケ地巡り~『怪獣大戦争』①・『空の大怪獣ラドン』(富士宮・天神・中洲)
今回ご紹介するのは、1965年12月19日に公開されたシリーズ第6作『怪獣大戦争』です。
同年8月8日には『フランケンシュタイン対地底怪獣』が、11月27日には大映の『大怪獣ガメラ』が公開され、さらに年明けの1966年1月2日からはTBS系列で空想特撮シリーズ『ウルトラQ』が放映されるという、誠に羨ましい時代の怪獣映画です。
『怪獣大戦争』は従来の怪獣映画の流れと、『地球防衛軍』(1957)や『宇宙大戦争』(1959)といった東宝のSF超科学戦争映画の流れをドッキングさせたものです。田中友幸プロデューサーはこれまでにも、日米を代表する2大怪獣を対決させた『キングコング対ゴジラ』(1962)、東宝のスター怪獣を対決させた『モスラ対ゴジラ』(1964)、そして3大スター怪獣が共闘する『三大怪獣地球最大の決戦』(1964)と、既存の企画やキャラクターを掛け合わせた作品でヒットを飛ばしてきましたが、今回もその一例といえるでしょう。そういった意味では、近年、東映が繰り広げている仮面ライダーやスーパー戦隊シリーズにおけるコラボ作品の数々も、発想は同じなのかもしれません。
※2点とも東海道新幹線から撮影した実景にフィギュアを合成したイメージです
さて、また前置きが長くなってしまいましたが、『怪獣大戦争』のロケ地巡りの話に移ります。実は、本作のロケ地をご紹介するのにあたって、どこをご紹介しようかと悩みました。先述の通り、ゴジラのライバルが増えたことが影響しているのか、ゴジラシリーズでは『怪獣大戦争』以降、名所旧跡の破壊シーンが激減したからです。本作では、X星人に操られたゴジラが街で大暴れするシーンがありますが、富士山の麓とはわかるものの、ロケ地の特定に難航していました。
そこに現れたのが、つい先日発売されたばかりのこの本、野村宏平著『ゴジラと東京 怪獣映画でたどる昭和の都市風景』です。ゴジラシリーズをはじめとする、東宝特撮作品のロケ地が数多く紹介されています。私が知らなかった聖地がいくつも取り上げられていて、まだまだ上には上がいるなと、興味深く拝読しました。
◆富士山本宮浅間大社
『怪獣大戦争』(1965)より
この本によると、『怪獣大戦争』の主なロケ地として霞ヶ関から見た国会議事堂や、「世界教育社」があったとされる丸の内の「三菱商事ビル別館」(現在は建て替えられています)が紹介されており、さらに、ゴジラ・ラドン・キングギドラが襲撃する場所が静岡県富士宮市の富士山本宮浅間大社近辺であると紹介されています。さっそくGoogleマップで確認すると、なるほどその通りでした。私も機会があれば行ってみようと思います。
とはいえ、これだけだとあまりに手抜きでオリジナリティがありません。そこで今回もかなり強引ではあるのですが……
『怪獣大戦争』(1965)より
ラドンの襲撃シーンに突如現れるこのカットに着目。そう、1956年に公開された『空の大怪獣ラドン』からの流用カットです。そこで……
今回はラドンつながりということで、『空の大怪獣ラドン』のロケ地をご紹介したいと思います(ホント強引ですみません…)。
◆西鉄福岡(天神)駅
『空の大怪獣ラドン』(1956)より
まずはラドンが舞い降りた場所。そこは、西鉄福岡駅に隣接する地元で有名な百貨店「旧岩田屋本館」です。九州初のターミナルデパートとして、1936年に天神交差点の西南角に開店しました。その後、1980年代半ばから始まった再開発事業「ソラリア計画」により、駅周辺は大きく様変わりしました。
現在、西鉄福岡駅北側は専門店街「ソラリアステージ」に、「旧岩田屋本館」は「福岡PARCO」になっています。岩田屋は、2004年にこの場所から移転しています。
『ゴジラvsキングギドラ』(1991)より
「にしてつWebミュージアム」内のコンテンツ「天神アーカイブ『天神発展史』」によると、西鉄福岡駅は1961年に高架化されたそうです。『ゴジラvsキングギドラ』では高架化した駅舎が、キングギドラに襲撃されています。
現在は、駅舎をすっぽり覆うような形で「ソラリアターミナルビル」ができています。ちなみに『ゴジラvsキングギドラ』公開の翌年、1992年から工事がj始まり、1997年に竣工したということです。
◆新天町
『空の大怪獣ラドン』(1956)より
ラドンの福岡襲撃によりシャッターを下ろすのは、西鉄福岡駅に隣接している商店街「新天町」です。Webサイトによると、終戦直後に出された西日本新聞社の郷土再建活動案がきっかけとなって誕生した商店街で、「新天町」というのは町名ではなく、“新しい天神の町”という意味の「新天神町」をもじって命名されたということです。そのロゴマーク(フォント)は、今もなお受け継がれています。
1978年にリニューアルしたということで、残念ながら本編でシャッターを下ろしていた店舗がどの辺りにあったのかはわかりませんでした。
この辺りの外観は、本編でラドンが巻き起こす強風にさらされた、今はなき「西鉄街」の雰囲気にどことなく似ているなと思ったのですが、いかがでしょうか。
先の「天神アーカイブ『天神発展史』」によると、「西鉄街」(西鉄商店街)は1949年に開業した商店街で、1976年に再開発されて「天神コア」となったそうです。
『ゴジラvsキングギドラ』(1991)より
「天神コア」は『ゴジラvsキングギドラ』で、キングギドラの襲撃を受けています。
(2010年4月15日・2013年4月9日・2014年4月10日撮影)
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さて、『空の大怪獣ラドン』の福岡における天神以外のロケ地にも触れておきます。福岡に飛来したラドンを観光客が目撃する大濠公園は、当ブログで以前ご紹介しております。
特撮ロケ地巡り~福岡編⑤(大濠公園~ラドンのロケ地を訪ねて)
http://tokusatsu.way-nifty.com/blog/2013/11/post-b3cc.html
こちらの記事では、中洲川端の西大橋付近にあった「花関ビル」のその後についてもお知らせしていますが、今回もその続報を最後にお伝えしておきます。
◆花関ビル跡
『空の大怪獣ラドン』(1956)より
前回訪れたのは2013年10月29日でした。今回はその約半年後の様子です。
一見すると、前回と比べてあまり進捗がないようにも見えたのですが……
テナントの募集が始まっていました。今年の秋にはオープンするそうです。近々また仕事で訪れる予定があると思いますので、引き続き追いかけていきます。
(2014年4月10日撮影)
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