ゴジラ60周年ロケ地巡り~『モスラ対ゴジラ』①(名古屋テレビ塔・名古屋城ほか)
今回は、ゴジラ誕生10周年となる1964年(昭和39年)4月29日に公開された『モスラ対ゴジラ』から、名場面の名古屋テレビ塔と名古屋城破壊シーンのロケ地を中心にご紹介します。
とはいえ、私が訪れたのはもう11年も前のことなので(私自身、そんなに経っていたという感覚はないのですが…)、現在の風景と変わっている部分があるかもしれません。その場合はご容赦ください。
◆名古屋テレビ塔
『モスラ対ゴジラ』(1964)より
倉田浜干拓地(架空の場所)から上陸し、四日市コンビナートを襲撃した後、名古屋へとやってきたゴジラがテレビ塔を襲うシーンです。前回ご紹介した『キングコング対ゴジラ』では、国会議事堂や熱海など、怪獣が登場する舞台を丸ごとミニチュア化していましたが、本作では実景の中に怪獣を合成し、ミニチュアセットで撮影したカットと巧みにカットバックする手法が採られています。
先日発売されたばかりの池田憲章・著『怪獣博士の白熱講座 ゴジラ99の真実』によると、前年の1963年6月に「新鋭の3ヘッドで3本のフィルムを自在に合成できる“1900シリーズ・オックスベリー・オプチカルプリンター”が東宝撮影所の特技センターに輸入、設置された」とあり、同年公開の本多猪四郎監督の『マタンゴ』(1963)で初使用されたそうです。 『モスラ対ゴジラ』でも、その威力が遺憾なく発揮されたというわけですね。
ただ、円谷英二特技監督は、この新鋭3ヘッド・オプチカルプリンターでも満足できなかったのか、自身が興した円谷プロダクション初のテレビシリーズのために、資金のあてもないまま4ヘッドのオプチカルプリンターを発注し、それをTBSが肩代わりして『ウルトラQ』の制作がスタートしたというのは、ファンの間では有名なお話です。円谷英二の特撮への拘りが伺えるエピソードだと思います。
さて、「名古屋テレビ塔」の話題に戻ります。テレビ塔は、Webサイトによれば1954年6月に開業し、今年は何とゴジラと同じ60周年を迎えているそうです。
ゴジラの尻尾がテレビ塔に絡みつくシーン。今なら必ず同ポジションを狙うところですが、撮影当時は観光がメインでした(^_^;)
「名古屋テレビ塔」の高さは、同じくゴジラが破壊した「さっぽろテレビ塔」よりもわずかに高い180m(さっぽろテレビ塔は147.2m)です。
倒壊したテレビ塔がゴジラに激突してしまうシーン。カメラを傾けてみました。テレビ塔はこの後、同じ東宝怪獣のバトラやキングギドラにも破壊されます。いずれもモスラ絡みです。
『ゴジラvsモスラ』(1992)より
『モスラ3 キングギドラ来襲』(1998)より
実際のテレビ塔は、度重なる怪獣の襲撃というよりも、2011年のアナログ放送終了によってテレビ局からの収入源が減ったことで経営難に陥っているそうです。2012年からは、マルチメディア放送「NOTTV」が開局し、再び放送の電波塔としての役割を継続しているとのことですが、名古屋のシンボルとして、そしてゴジラの聖地として(余談ですが、2008年に「恋人の聖地」としては認定されています)、今後もぜひ存続をお願いしたいです。
◆名古屋城
『モスラ対ゴジラ』(1964)より
大阪城、熱海城に続いてゴジラに破壊された名古屋城。関ヶ原の合戦後、江戸幕府を開いた徳川家康が、1609年に幕府の東海道の要所として、また、豊臣方への備えとして、北国・西国の諸大名に普請を命じ、1610年に着工。1612年に完成させた平城です。以後は、明治維新を迎えるまで徳川御三家の筆頭尾張家の居城として利用されました。
名古屋城は、1945年の名古屋大空襲によって、天守閣を含む大半が焼失してしまいました。現在の天守閣は1959年に再建されたものです。映画公開当時は、再建後5年しか経っていなかったわけですが、現在は木々が成長し、生い茂っています。
こちらは正門です。公式Webサイトによると、明治時代に旧江戸城内の蓮池御門を移築したものなのだそうです。この正門も天守閣同様、名古屋大空襲によって焼失し、1959年に再建されたものです。
大天守閣(右)と小天守閣(左)の間から顔を覗かせるゴジラ。天守閣の屋根は銅でできており、現在は酸化して緑色になっています。なお、カメラが立っている場所は、2009年から本丸御殿の復元工事が行われており、完成すると同じポジションでの撮影は難しいかもしれません(本丸御殿は2018年に完成予定)。
ゴジラが足を滑らせた濠。この辺りも現在は鬱蒼とした感じです。
見事に崩されてしまった天守閣。手前の櫓は「西北隅櫓」で、戦災を免れた名古屋城の数少ない重要文化財です。ゴジラの破壊からも免れたわけですが、その3年後……
『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』(1967)より
大映怪獣のギャオスに狙われることとなります。西北隅櫓の屋根上の鯱が強調されたアングルです。一見すると金鯱のようにも見えますが、実際に金鯱が設置されているのは天守閣のみです。
幸いギャオスの攻撃からも逃れられましたが、その25年後、再び怪獣の脅威にさらされることとなります。それはまた『ゴジラvsモスラ』編で。西北隅櫓は、2011年から修理工事が行われています。
◆名古屋市役所・愛知県庁
『モスラ対ゴジラ』(1964)より
順番が前後しますが、倉田浜干拓地からゴジラが出現したと伝えるアナウンスが街中に響き渡るシーンです。左側が名古屋市役所(1933年完成)、右側が愛知県庁(1938年完成)で、いずれも国の登録有形文化財に登録されています。
(2003年7月20日撮影)
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