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2014年6月 1日 (日)

ウルトラマン創世紀展

円谷英二 特撮の軌跡展」に続いて、滋賀県守山市にある佐川美術館で開催中の「ウルトラマン創世紀展 ウルトラQ誕生からウルトラマン80へ」に行って参りました。

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佐川美術館は、日本画家の平山郁夫氏、彫刻家の佐藤忠良氏、陶芸家の樂吉左衞門氏の作品を中心に展示した美術館です。水庭に浮かぶような建物がとても近代的で、ウルトラシリーズの世界観とマッチしているように思います。

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カネゴンがお出迎え。

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昭和のウルトラ兄弟と記念撮影するコーナーがありました。誰か足りないと思ったら、ゾフィー兄さんがいない…。

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一人ひとりを熱心に観察する我が娘。誰と記念写真を撮りたいか尋ねたら、ウルトラマンジャックを選びました。努力家の男が好きなのか!?
私は、初代は別格として、ウルトラマン80がリアル世代なので愛着があります。

さて、いよいよ展示コーナーへと進みます。展示内容は、4部構成になっていました。当然ながら、ここからは撮影禁止です。

◆【第1部】ウルトラ伝説の始まり
ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブンを中心としたコーナー。展示されていたプロップは、『ウルトラQ』(1966)より第5話「ペギラが来た」の雪上車、第12話「鳥を見た」のラルゲユウスの脚、ボスタング、異次元列車など。『ウルトラマン』(1966)からは、科学特捜隊のカタパルト、ゴモラの頭、第38話「宇宙船救助命令」の白鳥、ゼットンの小型円盤など。『ウルトラセブン』(1967)からは、ウルトラホーク2号、クール星人の腕、キングジョーの分離形態各パーツ、ポール星人、プロテ星人の円盤、ゴース星人のマスクと衣装などが展示されていました。第一期ウルトラシリーズのプロップは、ほとんどが「ウルトラマンアート展」など他の展示会でもお馴染みのものが多かったです。

◆【第2部】光の国を作った人々
円谷英二をはじめ、脚本、監督、美術、特撮スタッフを紹介するコーナー。高山良策さんが怪獣の造形に用いた道具や、ウルトラセブンの飛び人形、台本、絵コンテ、怪獣のデザイン画等が展示されていました。ここも、他の展示会でお馴染みのものが多かったです。

◆【第3部】ウルトラ兄弟の誕生
ここでは、第二期・第三期ウルトラシリーズのプロップが多数展示されていました。『帰ってきたウルトラマン』(1971)からはウルトラマンジャックの撮影用マスクやウルトラブレスレッド、MAT隊員の衣装や銃器類、マットアロー2号など。『ウルトラマンA』(1972)からは、エースの撮影用マスク2種、ウルトラの父の撮影用マスク、TAC隊員の衣装や銃器類、超獣ブラックピジョンとレポール星人の頭部など。『ウルトラマンタロウ』(1973)からは、タロウとウルトラの母の撮影用マスク、タロウ登場のバンクシーンで使用された巨大な手、ZAT隊員の衣装や銃器類、コンドル1号(スカイホエールは「特撮博物館」に展示)、冬眠怪獣ゲランの頭部など。『ウルトラマンレオ』(1974)からは、レオの撮影用マスク、MAC隊員の衣装や銃器類、マッキー2号、円盤生物アブソーバの操演用モデルなど。『ウルトラマン80』(1980)からは、80の撮影用マスクやメカギラスの頭部など。このコーナーに展示されていたものは初めて見たものが多く、新鮮でした。特に、再放送でよく観た『帰ってきたウルトラマン』や『ウルトラマンタロウ』の本物のプロップには感動しました。

◆【第4部】ぼくらのヒーロー ウルトラマン
放映当時の玩具やプラモデル、雑誌類、そして小松崎茂さん、梶田達二さん、南村喬之さんらによるそれらの原画が多数展示されていました。こういったグッズを少年時代に原体験として享受されていた方にとっては、さぞ懐かしいのでしょうね。私自身は昭和生まれなのですが(レオ放映の年に生まれました)、ウルトラシリーズはどちらかといえば再放送を観て育った世代なので、リアル世代の方が羨ましいです…。

◆記念公演会「ウルトラマン特殊美術」
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特に狙ったわけではなかったのですが、たまたま訪れた日が、『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』などの特殊美術スタッフだった池谷仙克さんの記念講演の開催日ということでしたので、拝聴しました。その様子は、YouTubeにも一部紹介されていました。

講演は、池谷さんがよく尋ねられるという怪獣デザインの話から始まりました。池谷さんの怪獣デザインは『ウルトラセブン』第31話「悪魔の住む花」に登場する宇宙細菌ダリーが最初でしたが、デザインにあたっては、アイデアの源は動物図鑑よりもファッション雑誌にあったというお話でした。ただ、成田亨さんが諸事情で美術スタッフを突如降板された後は、時間に追われるように次から次へとデザインしていかなければならないという過酷な状況だったとのことです。

そこから、話は幼少期における映画との出会いから、映像の仕事に携わるきっかけになった日活テレビ室でのドラマの助監督時代の話題へ。このときの経験が、現場を俯瞰的に見る目を養ってくれたとのことでした。

そして、円谷プロとの出会い。途中から参加した『ウルトラマン』に続いて、『ウルトラセブン』は立ち上げから意欲的に取り組み、後に続く『怪奇大作戦』(1968)は、大人のドラマとして特に愛着を持たれている作品とのことでした。映像業界でのキャリアのうち、円谷プロで過ごした年月はごく数年だったものの、この数年で培ったノウハウは、今なお仕事の原点になっていると語られていました。

その後、生涯を通じて長く付き合うようになる実相寺昭雄監督との出会いや、共に手掛けた『曼荼羅』(1971)などの作品のお話。さらに、『シルバー仮面』(1971)のお話へ。本家・円谷プロに対抗し、等身大ヒーローとして意欲的に取り組んだものの、同プロの『ミラーマン』(1971)に視聴率で惨敗。巨大化路線へ転向せざるを得なくなったときは、かなり失望されたそうです。それでも、常に新しい題材、新しい映像表現を貪欲に求め、チャレンジしていこうという姿勢には頭が下がります。「僕は、原宿で若い男女が云々…といった題材の作品は基本的にはお受けしません」と語っていらっしゃったのも印象的でした。

印象的といえば、「僕は打ち合わせのとき、『CGは嫌いです』ってよく言うんです」とも仰っていて、『怪奇大作戦』第23話「呪いの壺」(1969)での寺の炎上シーンを例に、ミニチュア特撮の醍醐味をお話しされました。

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火と水はミニチュアにできないため、炎上シーンをリアルに見せるために、通常の縮尺よりも大きめの4分の1のミニチュアを発注していたそうなのですが、予算の都合により、途中で6分の1に変更されたそうです。そのことで経費が半分に節約されるのだとか。ところが、手間のかかる瓦の製作はすでに4分の1の縮尺で進められていたため、建物は6分の1、瓦は4分の1という不釣り合いなミニチュアになってしまったとのことでした。とはいえ、本番では炎上中に4分の1瓦がバラバラと崩れ落ちる様が非常にリアルで、“怪我の功名”だったとのこと。そのことからも、「CGでは表現できない、人間が考えるイマジネーション以上の効果を得ることができた。これが特撮の魅力」と仰っていました。本当にそう思います。

そのほか興味深かったのは、シルバー仮面のスーツを着て怪我をされたというお話や、怪獣の着ぐるみの中に入って居住性の悪さを痛感され、その後のデザインでは居住性を意識するようになったというお話がありました。最後は、これから創りたい作品や、これから映像の世界を目指す若い人達へのメッセージで終了となりました。講演時間の1時間をオーバーしそうな勢いでしたが、実に聴き応えのある講演でした。


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講演後、ミュージアムショップで図録を購入。税込2,550円と少々高めですが、カラー167ページにもおよぶこの図録は非常に充実しており、読み応えがあります。

ショップを出た後、コーヒーショップの前を通りかかると、お食事をされている池谷さんのお姿がありました。そして、その隣りにはなんと、『ウルトラマン』のフジ・アキコ隊員役の桜井浩子さんのお姿もありました。近年は円谷プロのコーディーネーターとして活躍されているので、同席されていたのでしょうか。ちょっとテンションが上がりました。

以上、長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。さて、美術館を出て帰路につく前に、せっかくなので近隣のロケ地巡りをしたいと思います。琵琶湖と言えば、『ウルトラQ』放映期間中に公開されたあの作品です……。

(2014年5月10日撮影)

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