特撮ロケ地巡り~伊豆半島編③(淡島・『ウルトラQ』との出会い)
前回ご紹介した下田から石廊崎を経て、2004年ゴールデンウィークの伊豆半島ロケ地巡りの締めに訪れたのは淡島です。ここは『ウルトラQ』第2話「五郎とゴロー」の冒頭シークエンスのロケ地です。
◆淡島
『ウルトラQ』第2話「五郎とゴロー」(1966)より
第2話のファーストカット。この日は残念ながら富士山は見えませんでした…。
撮影ポイントは、下の地図で緑の矢印を打っている場所になります。
淡島は、駿河湾に浮かぶ小さな島で、「ウィキペディア」によると、戦時中には海軍の軍事施設があったそうです。本編でゴローは、旧日本軍が使用していた特殊栄養剤「青葉くるみ」を食べ、巨大化したという設定ですが、この場所がロケ地に選ばれたのは、そういった背景も関係しているのでしょうか。
ちなみに現在、島内には「淡島マリンパーク」という水族館や「淡島ホテル」があり、リゾート地の印象が強いですが、いずれも1980年代以降に開業しており、『ウルトラQ』制作当時にはなかったものです。
続いてロープウェイのりばです。建物が少し変わってしまっているように見えます。
(2004年5月1日撮影)
…が、いま思うと調査不足だったかもしれません。
というのも、この記事を書くのにあたって、淡島について再度いろいろ調べたところ、実際には私が撮影した外観写真には写っていない、建物の左側面が撮影に使用されていた可能性があることがわかったのです。その左側面の様子は、下記のサイトやブログにて確認できます。本編では、上部こそゴローとの合成で切り取られていると思われる部分がありますが、建物の感じは良く似ています。
たわたわのページさん「海上散歩、淡島海上ロープウェイ1」
http://www.tawatawa.com/densha6r/page003.html
『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)さん「あわしまマリンパークのロープウェイ(静岡県沼津市) 」
http://blogs.yahoo.co.jp/s_limited_express/17841717.html
なお、「淡島海上ロープウェイ」は、老朽化のため2008年頃から運休し、現在は廃止されてしまったそうです。帰りの新幹線の時間が迫っていたとはいえ、乗らずに帰ったことを後悔しました。在りし日の様子は、YouTubeにアップされています。
sakudofanさん「歓喜の索道(Aerial Tramway in Japan)」より
余談ですが、この第2話「五郎とゴロー」は、私が『ウルトラQ』で初めて出会った作品でした。映像を初めて観たのは、小学4年生の頃(1984年頃)に大阪の朝日放送で深夜にやっていた再放送(もちろん録画)ですが、それよりも少し前に、音で聞いたのが最初でした。
小学3年生の頃、友人S君から借りたとあるカセットテープ。その内容は、『ウルトラQ』から『ウルトラマンレオ』までの主題歌、挿入歌が収録されており、当時再放送にハマっていた『ウルトラマンタロウ』の各種音源が、貴重なオリジナル音源で収録されていたことがうらやましく(当時はカバー版、いわゆる“パチソン”が収録されたレコード・カセットテープが大半でした)、彼に頼んでダビングしてもらったのでした。
歌の合間には、TVシリーズから抜粋されたドラマ音声が入っており、だみ声のような初代ウルトラマンの声には、それまでのシュッとしたイメージとのギャップに度肝を抜かれました(当時、『ウルトラマン』は未見でした)。
しかし、何よりも引き込まれたのが、冒頭に収録されていた『ウルトラQ』のドラマ音声でした。宮内國郎の緊迫感漂うBGM、人々の鬼気迫る叫び、大怪獣の咆哮、そこに被さる石坂浩二の独特のナレーション、静かに始まるテーマ曲…。音声は疑似ステレオ加工が施されていたと思います。一体どんなドラマが展開されているのだろうと、当時9歳の少年は胸を躍らせ、ダビングしてもらったカセットテープを擦り切れるほど聴き返していたのでした。
ほどなくして、TV誌「テレパル」で『ウルトラQ』再放送の文字を見つけたときは飛び上がりました。そして、第2話の放送を目の当たりにしたとき、思わず「これやっ!」と叫んでしまったのでありました。最初に音で聴いていた感じでは、「大都会で大暴れする大怪獣!!」というイメージだったのですが(^^;)
とはいえ、冒頭ののどかな情景から恐怖の光景へと、たたみかけるように一変する展開や、実写と特撮の巧みなカットバック、精巧なミニチュアワークなど、後期ウルトラシリーズにはない、リアルな世界観に十分魅了されました。
そんなこんなで、余談が長くなってしまいましたが、淡島は私にとっての“特撮の聖地”でもあったわけです。
ヤフオクの出品画像を拝借しました
最後に、友人に借りたカセットテープですが、キングレコードから発売されていた『ウルトラマン大百科!』というレコードのカセット版であったことが、最近になってわかりました。musibaさんのサイト「ORETTE DAME DA NAaaa」によりますと、『ウルトラマン大百科!』は発売当時、ファンの間で一世を風靡した音源らしいですね。
http://www.geocities.jp/mygavadon/cd/lp1.html
さて、伊豆半島編はもう少しつづきます。
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