特撮博物館へGO!~特撮一人旅2012夏・感動のフィナーレ
2012年夏の特撮一人旅もいよいよクライマックスを迎え、最終目的地の東京都現代美術館を目指します。もちろん『館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技』を見るためです!
『ウルトラマン・アート展』同様、こちらも平日ということでチケットはすんなり購入できました。
入館時に、受付のお姉さんが「音声ガイドはいかがですか? エヴァンゲリオンの冬月教授(清川元夢)が解説をしています」と声をかけてくれました。事前にツイッターで「音声ガイドは必須」との情報を得ていたのでもちろん借りることにしたのですが、確かに正解でした。
解説数はなんと全70件!
テーマに沿ったBGMで盛り上げてくれる前代未聞の音声ガイド(¥500)です!!
しかも、ところどころスタッフインタビューも入っているではありませんか!?
ただ、これを利用するにはイヤホンかヘッドホンをお持ちになることをおススメします。「番号を入力して電話のように耳に当ててお聴きください」との事だったのですが、結構聴き取りにくいのと、最後の方は手が疲れてきますので…。
では、うまくまとまるか自信はありませんが、終盤の写真撮影可能なミニチュアステージまで、まずは拙い文章で見た感想を書いていきます。
◆人造 原点1
『モスラ』(1961)当時の図面をもとに再現されたという東京タワーのミニチュアに出迎えられた後、眼前に広がるのはおもちゃ箱をひっくり返したようなメカ・メカ・メカの嵐!
東宝作品を中心に、円谷プロダクションのマイティジャック号や、ピープロダクションのマグマ大使のロケットが、制作会社の垣根を越えて一堂に会しています。
個人的に印象深かったのは、小学校4年生のときにリアルタイムで観た『ゴジラ』(1984)のハイパワーレーザービーム車。作り込みの何と細かいこと。タイヤのホイールにはちゃんと三菱マークが!?
自分と同じ年に生まれたメカゴジラ2スーツは、まずは現存していることに感動。材質はウレタンなんですね。電子頭脳にプラモデルのランナーが使われてる。
『日本沈没』(1973)のわだつみや、『惑星大戦争』(1977)の轟天号は、実際は想像以上に大きなモデルが使われていたのに驚きました(決して映像に巨大感がないということではなく…)。
小学校5年生のときに再放送で観た『マグマ大使』(1966)のロケットが、バルサ製だったのはもびっくり!!
『マイティジャック』(1968)の万能戦艦マイティジャック号がこれまたデカい!
そして純粋にかっこいい!!
音声ガイドもテーマ曲で盛り上げてくれます。ナレーションも最高!!!
◆超人 原点2
続いて、ウルトラシリーズをはじめとしたいわゆるヒーローの世界。正直なところ、以前見た『ウルトラマンヒストリー展』や『ウルトラマン・アート展』とかぶる部分はあるのですが、成田亨さん、池谷仙克さんのデザインセンスが光るコーナーです。庵野監督(カントクくん)が「すごい人です」とコメントを添えていますが、その気持ち分かります。
ちなみに私のリアルタイムなウルトラマンは『ウルトラマン80』(1980)ですが、小学校2年生で『ウルトラマンタロウ』(1973)の再放送を観てから特撮にハマった口なので、ZATメカには素直に感動しました。スカイホエールがデカっ!
その他のウルトラシリーズ以外の70年代ヒーローはちょっと専門外かな。
◆力
『ガメラ2 レギオン襲来』(1996)のガメラスーツをはじめ、平成ガメラシリーズや『日本沈没』(2006)、そして昨日ロケ地巡りした横浜赤レンガ倉庫のミニチュアなど、細部にこだわった匠の技を堪能できます。そして、大音響とともに暗がりに人の列が…
◆巨神兵東京に現わる
いよいよ来ました、待望の短編映画!
スタジオジブリ作品なので、トトロのマークで映像は始まります。トトロと重々しいBGMのミスマッチがなんとも(笑)
映像は声優・林原めぐみさんの綾波レイ風の語りで進行していきます。特撮の絵作り的にところどころ笑える要素もありますが、もう見事としか言いようのない出来栄えでした。久々に見たかった特撮映像を見せてくれたという満足感でいっぱいになります。
◆軌跡
そしてそのまま『巨神兵東京に現わる』のメイキングコーナーへ。この見せ方が巧いなと思います。「あれ、CGじゃなかったんだ!」と驚いている人がたくさんいました(私もですけど)。もう一度本編映像を見たくなりますが、後戻りは禁止なので先へと進みます。
眼下に「特撮スタジオ・ミニチュアステージ」が見えてくると、音声ガイドからは「特撮博物館はまだまだ続きます」といった清川さんのナレーションが聴こえてきます。その後、特撮監督・尾上克郎さんの挨拶が続くので、「あとは『ミニチュアステージ』で写真撮って終わりか…」と、少し寂しい気持ちになってでエスカレーターを下りていきます。
が、しかし、そのとき目の前に現れたものは!?
◆特殊美術係倉庫
なんということでしょう!薄暗い中に所狭しとミニチュアが格納された、東宝の特撮倉庫を再現したエリアに突入です。清川さんのナレーションの通り、まだ折り返し地点でした。このときの幸福感たるや!!
一瞬下がったテンションが、見事なまでにV字回復です。戦記映画で活躍した航空機や怪獣たちと戦った特殊車輌など、今まで映像と写真でしか見ることができなかった東宝のミニチュアたちを間近で観賞します。
『妖星ゴラス』(1962)に登場した電気機関車や『青島要塞爆撃命令』(1963)の蒸気機関車、そして『ローレライ』(2005)の伊507のミニチュアの大きかったこと!
『ゴジラ』(1984)のサイボットゴジラの頭部骨格やゴジラの足もデカい!!
『ゴジラvsキングギドラ』(1991)にも流用された原子力潜水艦もあるぞ!!!
後で知ったのですが、『ゴジラvsビオランテ』(1989)のスーパーX2も展示されていたとか。嗚呼!見逃してしまったorz
そして再び「ミニチュアステージ」を横目に見ながら、早く近くで見たいとさらに煽られつつ、次のコーナーへと進みます。
◆特撮の父・円谷英二
日本で特撮を語る以上、避けては通れない人。限りない夢を与えてくれた偉大な先人に感謝の念を抱きつつ、記念すべき特撮怪獣映画の第一作『ゴジラ』(1954)のオキシジェン・デストロイヤーを拝みながらさらに次へ。
◆技
特撮美術監督・井上泰幸さんをはじめ、造形、機電(電飾などの仕掛け)、木工、板金などの分野で、特撮を陰で支え続けてきた職人たちを紹介するコーナーに入ります。ミニチュア特撮が途絶えるということは、こういった職人の技も継承されずに失われるということであり、なんとも物哀しく、考えさせられます。
◆研究
失われつつ技術がある一方で、ここは『巨神兵東京に現わる』で使った新しい特撮技術や、強制遠近法を用いた伝統的なミニチュアワークなどが紹介され、特撮にはまだまだ可能性があるんだということを教えてくれる、未来への希望が感じられたコーナーでした。
◆感謝 原点3
締めに近づいてきました。庵野秀明館長から感謝ということで、東宝作品、円谷作品、大映作品の特撮名場面集が流ます。こちらこそ感謝したいです。
それにしても、ここまで来るのに3~4時間は経っているんじゃないかと思います。さすがに、お腹いっぱいになってきました(うれしい悲鳴)
◆特撮スタジオ・ミニチュアステージ
いよいよ最後です。ここは撮影可能なエリア。特撮監督になった気分で、ミニチュアセットを舐めまくることができます!
足が痛くなってきたのも忘れて、テンションはMAX!!
こ、これは昨日ロケ地巡りした『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001)の都橋商店街のミニチュアでは!?
(詳しくは「特撮ロケ地巡り~横浜編①」をご覧ください)
ビルの屋上にパラボラ、いや『地球防衛軍』(1957)のマーカライト・ファープが!
ミニチュアを彩る小物たち。
東宝特撮黄金期をを支えたクレーンと大扇風機。
うちびきセット。ペアで来ていれば気兼ねなく記念撮影できるんでしょうけど、私は一人旅だったので、後ろの人に撮影してもらいました…。
これは島倉ニ千代さんが描いた背景画。これが絵だとは本当に驚きです。
図録(¥2,700)
いやぁ、堪能しました。入館して気が付いたら4時間以上経過していました。こんな企画展は初めてです。楽しかった。本当に来て良かったっす!
この後、図録と娘へのお土産(ウルトラマンのシールと海苔)を買って大阪へ帰るわけですが、図録は絶対に買いです。展示品と、『巨神兵東京に現わる』のメイキング本がセットになっていて、もの凄い情報量です。
最後に一言、私などが偉そうにいうことではないのかもしれませんが、言わせてください。
庵野館長、樋口副館長、あなた方は偉い!
そして、嫁さんにも大感謝です。この二日間、本当にいい一人旅ができました。
ありがとう!!
【特撮一人旅2012夏・完】
(2012年8月7日撮影)
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